肝胆膵第76巻第3号
長期予後が期待できる膵癌の診断はどうするか
電子書籍のみ
- 花田 敬士,他(JA尾道総合病院)
- 発行日:2018年03月28日
- 〈要旨〉
膵癌は予後不良の疾患であるが,腫瘍径1cm以内の症例では5年生存率が80%以上と報告され,小径での早期診断が長期予後につながると考えられる.現在の膵癌診療ガイドライン2016年版では早期の膵癌を腫瘍径1 cm以下とし,USや造影CTで直接腫瘤を同定した場合はEUS-FNAを,腫瘤は認めないが膵管拡張,膵嚢胞などの間接所見があれば,MRI(MRCP)またはEUSを施行し,膵管の異常がみられた場合,十分な説明と同意の後ERCPを施行し,複数回の膵液細胞診を施行することを提案している.また,早期診断例(Stage 0,I)に関する国内high volume centerの症例集積からは,自覚症状を有する症例は約1/4であり,CEA,CA19-9など腫瘍マーカーの陽性率は極めて低率であること,また画像所見の特徴として,造影CTでは膵管拡張や限局的な膵萎縮および脂肪沈着がMRI(MRCP)では膵管拡張や限局的な狭窄,小型嚢胞性病変がEUSでは,膵管拡張や狭窄および狭窄周囲の淡い低エコーが診断の契機であることが明らかになった.今後“膵管の異常”に着目した早期診断のアルゴリズムを構築していく必要性が示唆される.
詳細
What should we do to make a diagnosis of early pancreatic cancer where long-term prognosis can be expected?
花田 敬士 清水 晃典 南 智之
JA尾道総合病院消化器内科