肝胆膵第76巻第3号
信頼できるリスクファクターとは
電子書籍のみ
- 清水 京子(東京女子医科大学)
- 発行日:2018年03月28日
- 〈要旨〉
膵癌の高リスク群を認識し,膵癌スクリーニングを定期的に行うことは,膵癌の早期発見と予後の改善に役立つと思われる.家族性膵癌は第一度近親者に2人以上の膵癌患者が存在する疾患で,BRCA2やPALB2などの胚細胞性変異との関連がある.また遺伝性膵癌症候群とは,遺伝性膵炎,家族性乳癌卵巣癌症候群,Peutz-Jeghers症候群などの遺伝性疾患で,それぞれ疾患遺伝子変異が特定されている.近年,日常臨床で最も多く遭遇する膵癌リスクが高い疾患は,慢性膵炎と膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)である.IPMNは組織学的に胃型,腸型,膵胆型,好酸性細胞型の4種類に分類され,胃型と膵胆型からは管状腺癌,腸型からは粘液癌,好酸性細胞型は好酸性細胞癌が主に発生する.その他,喫煙,大量飲酒,糖尿病,肥満なども膵癌のリスクであるので,生活習慣の改善も膵癌リスク低下には重要である.
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What are the reliable risk factor for pancreatic cancer?
清水 京子
東京女子医科大学消化器内科