臨床精神医学第45巻第10号
研究報告 がん患者のうつ状態に対するエスシタロプラムの有効性および忍容性─非盲検非対照デザインによる予備的研究─
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- 市倉 加奈子・他(東京医科歯科大学)
- 発行日:2016年10月28日
- 〈抄録〉
背景:がん患者におけるうつ状態は深刻な問題であり,生活の質に悪影響を及ぼす。本研究ではがん患者のうつ状態に対して,選択的セロトニン再取り込み阻害薬の1つであるエスシタロプラムの有効性および忍容性を検証することを目的とした。方法:本研究は,非盲検非対照デザインを用いて実施した。対象者は2012年8 月から2015年7月に東京医科歯科大学心身医療科にてうつ状態の治療としてエスシタロプラムを処方されたがん患者とした。評価指標として,Montgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS),Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS),EORTC Quality of Life Questionnaires(EORTC)を用いて,投与開始前,投与2週後,4週後,8週後の4時点で測定を行った。結果:対象となった22名のうち,15名を解析対象とした。主要評価項目であるMADRSの平均変化量は -26.3点,副次評価項目であるHADS-D(うつ症状)では -8.3点,HADS-A(不安症状)では -5.7点であった。一元配置の分散分析の結果,MADRS,HADS,EORTCの一部で有意に得点が改善していた。また,有害事象として眠気が発生したものが最も多く,3名(21.4%)であった。結論:本研究の結果から,がん患者のうつ状態に対してエスシタロプラムは,うつ症状,不安症状,QOLの改善に寄与することが明らかにされた。さらに,有害事象の発生も一般のうつ状態の患者に対する国内臨床試験の結果と相違がなく,エスシタロプラムががん患者においても忍容性が高いことが確認された。
詳細
Efficacy and tolerability of escitalopram among depressed patients with cancer -an open-label uncontrolled trial-
市倉 加奈子1,2) 宮島 美穂1) 松島 英介1)
1)東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 心療・緩和医療学分野
2)日本学術振興会