臨床精神医学第54巻第5号
東京都アウトリーチ支援事業における対象者への効果
電子書籍のみ

- 白井 有美・他(東京都立中部総合精神保健福祉センター)
- 発行日:2025年05月28日
- 〈抄録〉
東京都アウトリーチ支援事業(本事業)では,「地域生活の安定化」のため,保健所等の依頼と協働により,未治療・治療中断等で生活に困難を抱え孤立しがちな精神障害者への訪問支援を実施してきた。本研究では,当事者への支援効果の定量的検証のため,2018~2023年度の本事業対象者 228名に,サービスエンゲージメント尺度(SES),社会行動評価尺度(SBS),機能の全体的評価尺度(GAF)を用いて支援開始時と終了時で評価した。結果,すべての尺度で有意な改善を認めた(p<0.01)。SESの改善は,支援者との関係構築と支援の受け入れの進展が示唆された。ただし,SBSとGAFの改善幅は限定的で,対象者は依然として支援が必要であった。本事業は,地域生活の安定化に向けた対象者の「底上げ支援」として機能し,孤立から脱却し地域の支援を受け入れる基盤づくりに効果があり,長期的な回復過程の出発点の確立に寄与した可能性がある。
詳細
Effects of Tokyo metropolitan outreach support project on individuals sustaining community living with mental disorder
白井 有美*1 吉澤 有香*2 菊池 佐久良*3 西 いづみ *1 熊谷 直樹*1,4 平賀 正司*1
*1東京都立中部総合精神保健福祉センター
*2東京都立精神保健福祉センター
*3東京都立多摩総合精神保健福祉センター
*4相模原市健康福祉局地域包括ケア推進部