臨床精神医学第53巻第2号
抗てんかん発作薬(抗てんかん薬)が精神面に及ぼす影響とその対応
電子書籍のみ
- 加藤 昌明(むさしの国分寺クリニック)
- 発行日:2024年02月28日
- 抗てんかん発作薬が精神面に及ぼす影響は,薬物による直接の影響と,薬物によっててんかん発作が減少(あるいは増悪)するために生ずる影響の二つに分けて考える必要がある。どちらにも患者側の脆弱性(精神疾患の既往歴・家族歴があること,てんかんが難治であることなど)が大きく関係する。本稿ではまず精神的影響が起こりやすい薬剤を,症状別(眠気,易刺激性・攻撃性,抑うつ,精神病症状,認知機能障害)にあげた。次いで薬剤別に,精神面への影響を概説した。これらを予防し,早期に発見・対応するために以下の5点が重要である。1)薬剤選択は患者の脆弱性に配慮する,2)薬剤は少量から開始し緩徐に増量する,3)あらかじめ患者と家族・支援者に薬物による精神症状出現の可能性について説明しておく,4)精神症状出現時には,発作頻度の変化を確認するとともに,薬物が関与しているかどうかを必ず検討する,5)日頃からなるべく薬剤整理を心掛ける。
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Psychiatric side effects of antiseizure medication on patients with epilepsy and countermeasures
加藤 昌明
むさしの国分寺クリニック