臨床精神医学第53巻第2号
てんかん診療の歴史─なぜ日本では精神科医がてんかんを診るのか?─
電子書籍のみ
- 渡辺 裕貴(天久台病院)
- 発行日:2024年02月28日
- てんかんは古くからの病気であるがその原因は長らく明らかでなかった。てんかん発作が大脳の異常活動から生じるという近代的な解釈は19 世紀の神経科医ヒューリング・ジャクソンに始まる。ほぼ同時期に精神科医のエミール・クレペリンは精神病の分類の試みを行い,その中でてんかん性精神病を三大精神病の一つとした。これが精神科医がてんかん診療に携わるようになった起源である。日本では近代精神医学の祖とされる呉秀三がクレペリンから精神医学を学び,内科学(神経科)の三浦謹之助と(旧)日本神経学会を創設し,てんかんも診療対象とした。呉の著書には明治の日本ではてんかん患者が精神障害者として扱われていた記載がある。その後,(旧)日本神経学会は,日本精神神経学会と改称し,神経科医はこの学会を離れて日本臨床神経学会(現:日本神経学会)を設立したため,精神科がそのままてんかんの診療主体となったと推測される。
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History of epilepsy treatment in Japan –Why are psychiatrists treating epilepsy?–
渡辺 裕貴
天久台病院精神科