臨床精神医学第52巻第11号
神経疾患における視覚症状
電子書籍のみ
- 栗田 正・他（帝京大学ちば総合医療センター）
- 発行日：2023年11月28日
- 〈抄録〉
視覚症状には暗点，半盲など視機能の欠落による陰性症状，飛蚊症，幻視など眼前に存在しない物が見える陽性症状，物が歪んで見える，見えたものが認識できない，などその他の視知覚・認知障害によるものがある。陰性症状は神経疾患によるものが多く，脳血管障害をまず疑う。陽性症状は眼疾患によるものが主だが，神経疾患によるものもある。その他の視知覚・認知障害の諸症状は神経疾患に起因するものが多いが精神疾患による症状も混在する。視覚症状は眼球から視神経，後頭葉，さらに視覚情報処理に関わる高次中枢に至る経路のいずれかの局所または広範な障害を反映するものと理解し，患者の訴える視覚症状から短絡的に眼疾患，神経疾患あるいは精神疾患と決めつけないよう診断にあたっては慎重な姿勢が求められる。
詳細
Visual phenomena in neurological disorders
栗田 正＊1,2 竹林 裕直＊2
＊1帝京大学ちば総合医療センター脳神経内科
＊2医療法人社団正慶会栗田病院精神科