臨床精神医学第52巻第2号

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  • 特集/私のクリニカルクエスチョン
  • 発行日:2023年02月28日
  • <企画趣旨>
    臨床的な疑問を,文献検索,あるいは研究により検証可能な形に定式化したものをクリニカルクエスチョンという。このように,臨床疑問を定式化することが,エビデンスに基づく診療の出発点となる。具体的には,PICOまたはPECOと呼ばれる形で示される。これは,患者(patient),介入または暴露(intervention/exposure),対照(comparison),アウトカム(outcome),の4つの要素からなる。日常診療は,日々,迷うことの連続であり,その中で何らかのディシジョンをするのが医師の役割である。そんな中で,時折,心を揺さぶられるような,印象深い症例に遭遇し,こうした患者さんとの出会いが医師としての人生に影響することもある。こうした印象深い症例というのは,結局,重要なクリニカルクエスチョンを浮き彫りにしている症例,ということになるのではないだろうか。統合失調症の急性期の後(P),抗精神病薬を続ける群(I)と中止する群(C)で,どちらのほうがより再発が少ないか(O),というようなクリニカルクエスチョンであれば,多くのエビデンスがあり,ディシジョンに迷うこともない。しかし,こうした印象深い症例から得られたクリニカルクエスチョンには,多くの場合,まだ答えがない。疑問に対して答えることはもちろん大事であるが,重要な問いを見つけることもまた大切である。答えられていない,新たな問いを見つけることこそが,未来の精神医学につながるのである。本特集では,臨床の中で遭遇した症例から発見した,未だ十分な答えのないクリニカルクエスチョンについてご紹介いただき,今後,精神医学が解くべき問いについて考えてみたい。

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<目次>
高齢の精神病性うつ病患者における治療選択 秋田大学 竹島 正浩
向精神薬は自動車運転技能に影響を与えるのか?─強迫症患者の治療を例として─ 名古屋大学 尾崎 紀夫
転換性障害患者に入院治療は不適切なのか? 東北大学 本多 奈美
反復性うつ病の抑うつ的反すうへの対応を探る─反すう焦点化認知行動療法の出会いと実践─ 聖マリアンナ医科大学 中川 敦夫
統合失調症に対する持効性抗精神病薬注射と経皮吸収型製剤の併用療法 昭和大学病院附属東病院 高塩 理
統合失調症とパーキンソン病を合併した 22q11.2 欠失症候群に対する維持電気けいれん療法(ECT)の治療選択 神戸大学 谷藤 貴紀・他
双極性障害のうつ状態に対する低用量スルピリドの有効性と安全性 奈良県立医科大学 井川 大輔・他
統合失調症前駆期の陰性症状と関連した抑うつ状態への治療選択 順天堂大学 吉川 茜・他
シリーズ/精神科医に知ってもらいたい医学生物学の先端技術
空間トランスクリプトームと精神疾患研究 吉永 怜史・他
研究報告
気分障害を対象としたリカバリー支援プログラムの予後調査研究─臨床的リカバリーとパーソナルリカバリーの関係─ 榊原 英輔・他