肝胆膵第83巻第2号
免疫療法と免疫微小環境－β-catenin サブタイプを中心に－
電子書籍のみ
- 紅林 泰，他（慶應義塾大学）
- 発行日：2021年08月28日
- 〈要旨〉
多彩な組織像を示す肝細胞癌の中において，CTNNB1変異型肝細胞癌は特徴的な一群を形成している．組織学的に，CTNNB1変異型肝細胞癌では特徴的な偽腺管構築や胆汁栓の形成を認める一方で，硬化型肝細胞癌や脂肪性肝炎肝細胞癌の所見を呈することは少ない．免疫微小環境においてもCTNNB1変異型肝細胞癌は腫瘍内リンパ球浸潤に乏しい（immune-cold）という特徴があり，その機序が分子生物学的に明らかにされつつある．本稿では，CTNNB1変異型肝細胞癌（Wnt/β-cateninサブクラス）の組織学的所見ならびに免疫微小環境に関して，その他の肝細胞癌と比較しながら概説するとともに，免疫療法との関連に関して述べる．
詳細
Immune microenvironment of CTNNB1-mutated hepatocellular carcinoma
紅林 泰 坂元 亨宇
慶應義塾大学医学部病理学教室