肝胆膵第80巻第3号
EUS下腫瘍焼灼術の現況－潮流と最新情報－
電子書籍のみ
- 菅野 良秀，他（仙台オープン病院）
- 発行日：2020年03月28日
- 〈要旨〉
EUS下焼灼療法（EUS-Ab）は，外科的切除適応ではない膵嚢胞や膵腫瘍などに対する予防的ないし姑息的治療として，海外から報告が相次いでいる．薬剤による化学的焼灼と熱エネルギーによる焼灼があり，前者は嚢胞性病変，後者は充実性腫瘤を中心に検討される．膵嚢胞に対する焼灼は，外科切除が過大侵襲と思われる病変を主たる適応とし，単房性ないし6房以内の寡房性病変で6 cm以内のものがよい適応とされる．嚢胞腔消失率は報告により多様であるものの一定の効果が期待できると考えられるが，一方，遠隔成績はいまのところ不明である．充実性腫瘤に対する熱焼灼療法に関しては，海外でさまざまな機器が開発されて臨床応用が試みられているが，大規模な臨床研究は存在せず，今後の動向に注目したい．
詳細
Current status of EUS-guided ablation
菅野 良秀 伊藤 啓
仙台市医療センター仙台オープン病院消化管・肝胆膵内科