臨床精神医学第47巻第12号

  • 特集/軽度認知障害
  • 発行日:2018年12月28日
  • 〈企画趣旨〉
     軽度認知障害はもともとPetersenが提唱したMild Cognitive Impairment(MCI)の訳語として用いられてきた。DSM-5において,neurocognitive disorderがmild cognitive disorderとmajor neurocognitive disorderとに分けられたが,その訳語としてmild neurocognitive disorderを「軽度認知障害」とし,major neurocognitive disorderを「認知症」とすることになった。したがって「軽度認知障害」は,Petersenのmild cognitive impairment(MCI)とDSM-5のneurocognitive disorderと二つの異なる用語を意味することになった。
     一方,「軽度認知障害」は認知症予防という観点からは重要な概念であり,広く臨床家に知ってもらいたい重要な臨床単位となりつつある。認知症予防の立場からいうと,認知症発症前のMCIとしての「軽度認知障害」に対応することが求められており,さらに数からいうと高齢者認知症の6〜8割を占めるアルツハイマー病の軽症型として「軽度認知障害」の対応も求められるからである。このようなともすると混乱しがちな「軽度認知障害」の用語と概念を整理して読者に提供する特集を考えた。

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〈目次〉
二つの「軽度認知障害」と認知症前状態を表す概念の推移 (大阪河﨑リハビリテーション大学)武田 雅俊・他
軽度認知障害の疫学と臨床的意味 (兵庫県立リハビリテーション西播磨病院)樫林 哲雄・他
軽度認知障害の診断基準─Petersenの診断からDSM-5まで─ (日本医科大学)大久保 善朗
軽度認知障害の神経病理 (筑波大学)新井 哲明
軽度認知障害の臨床尺度─手段的ADLを中心に─ (東京慈恵会医科大学附属柏病院)稲村 圭亮・他
軽度認知障害の神経心理検査 (慶應義塾大学)船木 桂・他
軽度認知機能障害の脳脊髄液・血液バイオマーカー (大阪大学)田上 真次・他
軽度認知障害の形態画像診断 (近畿大学)石井 一成
軽度認知障害の脳血流代謝画像 (国立精神・神経医療研究センター)松田 博史
軽度認知障害における分子イメージング (量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)互 健二・他
アルツハイマー病治験と軽度認知機能障害 (大阪大学)大河内 正康・他
軽度認知障害を支える社会 (東京都健康長寿医療センター研究所)粟田 主一
シリーズ/日本の精神医学を築いた人々〔第6部〕
評伝 風祭 元─あたたかさと情熱を内に秘めたわが国の臨床精神薬理学の泰斗─ (帝京大学)林 直樹
研究報告
5分間スピーチサンプルで評価された家族の感情表出(EE)と知的障害を有する自閉スペクトラム症児の問題行動および家族の生活の質(QOL)との関連性 (群馬県立しろがね学園)相良 由美子・他
日本版個別型援助付き雇用フィデリティ尺度におけるカットオフ値の検証 (国立精神・神経医療研究センター)山口 創生・他