臨床精神医学第47巻第12号
二つの「軽度認知障害」と認知症前状態を表す概念の推移
電子書籍のみ
- 武田 雅俊・他(大阪河﨑リハビリテーション大学)
- 発行日:2018年12月28日
- 〈抄録〉
高齢者にみられる記憶障害や認知機能障害についての理解は,時代とともに大きく変化してきた。1980年代までは,高齢者の記憶・認知機能障害は生理的なものであり,正常な老化現象の一つと考えられてきたが,現在は,新しい脳科学の知見を取り入れて,高齢者の記憶や認知機能障害は,病的なものであり,このような機能低下は予防可能であると考えられるようになった。認知症は,認知機能低下により適切な判断ができなくなり日常生活機能が障害された状態とされるが,その前段階として軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)やさらにその前の段階として主観的認知障害(subjective cognitive impairment;SCI)を考えることができる。本稿では,高齢者の記憶,認知機能障害についての概念の変化について概説するとともに,認知予備力の概念について説明する。
詳細
The conceptual history of MCI and two different terms of MCI
武田 雅俊*1 谷口 英治*2 工藤 喬*3
*1大阪河﨑リハビリテーション大学認知予備力研究センター
*2大阪河﨑リハビリテーション大学作業療法学科
*3大阪大学保健センター