肝胆膵第78巻第4号
C型肝炎からの発癌の特徴とC型肝炎治療による肝組織病態の変化
電子書籍のみ
- 眞杉 洋平，他（慶應義塾大学）
- 発行日：2019年04月28日
- 〈要旨〉
長年にわたる画像診断・技術の進歩，分子生物学的研究の集積により，C型肝炎ならびに肝硬変に見いだされる肝細胞癌の多くは，早期肝細胞癌に代表される早期病変から多段階的に悪性化し（multistep carcinogenesis），腫瘍発生は時間的空間的に多中心性に起こる（multicentric occurence）ことが明らかとなった．近年，C型肝炎ウイルスを直接ターゲットとした治療薬の開発と普及が進み，C型肝炎撲滅が現実的となるなかで，生命予後を左右する肝線維化の消退，発癌リスクの低下にもつながる期待が高まりつつある．本稿では，C型肝炎からの発癌の特徴を病理学的視点から解説し，それを踏まえてC型肝炎ウイルス排除による肝組織病態の組織学的変化，それらに係る諸問題について考察する．
詳細
Histological findings of HCV-related hepatocarcinogenesis and SVR-associated liver changes
眞杉 洋平 坂元 亨宇
慶應義塾大学医学部病理学教室