肝胆膵第76巻第6号
進行性慢性ウイルス性肝疾患(特にHBV関連)に発生するAcute-on-chronic liver failure
電子書籍のみ
- 城下 智,他(信州大学)
- 発行日:2018年06月28日
- 〈要旨〉
Acute-on-chronic liver failure(ACLF)は,背景に慢性肝疾患を有する患者に何らかの誘発因子が加わって,全身性炎症反応が惹起され,臨床的には既存の慢性肝疾患の急性非代償化と多臓器不全の合併をきたし,死亡率の高い病態である.ACLFへ病態進展する背景肝疾患の頻度は,国や地域によって異なっており,日本では進行性で慢性のウイルス肝炎は背景肝疾患の一つとして重要である.わが国では,肝硬変の成因別頻度はC型肝炎ウイルスに関連するものが多いが,ACLFの成因別頻度はB型肝炎ウイルスに関連するものがウイルス肝炎による肝疾患のなかで相対的に多い.このため,B型肝炎診療ではACLFを常に念頭におくべきである.また,B型肝硬変診療では,HBV-DNAが陽性であれば,ACLFの発症をさけるため,安定した抗ウイルス効果や肝機能改善効果が期待される核酸アナログによる治療介入を積極的に行う必要がある.
詳細
Acute-on-chronic liver failure in chronically progressive viral infections liver disease, focusing on hepatitis B virus infection
城下 智 田中 榮司
信州大学医学部内科学第二教室,消化器内科