臨床精神医学第45巻第12号
和歌山刑務所における窃盗癖の実際と摂食障害
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- 梁瀬 まや・他(京都大学)
- 発行日:2016年12月28日
- 〈抄録〉
本研究では,窃盗(万引き)で収監されている摂食障害患者を対象に,その心理社会的特性と万引き累犯性などについて調査した。対象は2014年4月22日〜2016年10月4日までに和歌山刑務所に窃盗(万引き)で収監されていた女子受刑者の中で,摂食障害を有する者28例を対象とした。平均年齢は46.6歳であった。摂食障害発症前から万引き行為に及んでいた者は7 例(25%),摂食障害発症後に万引き行為に及んだ者は21例(75%,うち発症と万引き行為がほぼ同時期の者は11例(39.3%))で,発症後万引き行為に及んだ者に累犯性の高さが目立った。収監後もなお万引き衝動を有する者は5例で,うち4例は服役回数が複数回に及ぶ累犯であった。摂食障害,および,不安・抑うつ・解離・強迫といった併発症は一定の重症度を認め,摂食障害の病理が万引き行為の累犯性と一定の関連あることが示唆された。本研究結果は,摂食障害患者における万引き行為の累犯化予測因子(危険因子,保護因子)の整理・解明に寄与すると考えられる。また,摂食障害および併発症の治療が同障害を持つ患者の万引き防止に有用である可能性も示唆された。
詳細
Eating Disorders and Kleptomania in Wakayama Prison
梁瀬 まや* 杉原 玄一* 森田 貴子** 山崎 浩** 村井 俊哉* 野間 俊一*
*京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学)
**和歌山刑務所医務課