臨床精神医学第50巻第2号
医療観察法医療における治療抵抗性統合失調症のClozapine による治療反応
電子書籍のみ
- 久保 彩子・他(琉球病院)
- 発行日:2021年02月28日
- 〈抄録〉
Clozapine(CLZ)治療の対象となった統合失調症の一般病棟患者161 名(一般群)と医療観察法病棟患者31名(医療観察法群)の2群において,CLZ治療前,開始3か月後および6か月後の精神症状の重症度と改善度を比較し,後者は重複障害の有無が与える影響についても検討した。医療観察法群の陽性症状の治療前得点は一般群よりも高く,重複障害のある群ではない群よりも興奮症状が高かったが,これらの症状群の6か月後の改善率は一般群との比較において差を認めなかった。両群において,3か月後と6か月後の症状改善率との間で強い正相関を認めた。本結果より,医療観察法群では陽性症状への治療抵抗性がCLZ導入の契機となり,特に重複障害例では興奮症状の改善を目的にCLZが選択される可能性が示唆された。3か月後のCLZへの治療反応は最終治療帰結の予測に有用であると考えられた。
詳細
Clozapine response to treatment-resistant schizophrenia in forensic ward
久保 彩子*1 木田 直也*1 三原 一雄*2 高江洲 慶*1 大鶴 卓*1 近藤 毅*2
*1独立行政法人国立病院機構琉球病院
*2琉球大学大学院精神病態医学講座