臨床精神医学第49巻第10号
アルコール使用障害の現在とこれから
電子書籍のみ
- 齋藤 利和・他(幹メンタルクリニック)
- 発行日:2020年10月28日
- 〈抄録〉
アルコール使用障害(アルコール依存症)の概念と診断の変遷を述べた。異常酩酊時の逸脱行動は旧約聖書,古事記,日本書紀に,アルコール依存・乱用(使用障害)はローマの哲学者セネカの記載がある。18 世紀,ラッシュは飲酒関連問題の医学モデルを,19 世紀,フスはアルコール中毒という用語を提言した。1977 年,WHOはアルコール依存症の概念を提示した。この精神依存を重視した概念はDSM-ⅣとICD-10に受け継がれる。DSM-5では乱用,依存概念が統一されたアルコール使用障害診断基準が示された。本邦ではアルコール依存症の診断・治療ギャップが認められ,未治療の軽症アルコール使用障害(依存症)に対する診断治療が重要となっている。こうした診断上の問題,変化に伴い治療目標も断酒とともに,飲酒量低減もそれとなっている。最近では集団精神療法などのほか,症例の軽症化に伴い簡易介入が有効である。アルコール依存症者は精神疾患の併存症,特にうつ病,不安障害の併存が多い。
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Alcohol use disorder: In the present and the future
齋藤 利和 木村 直友 田山 真矢
幹メンタルクリニック