肝胆膵第81巻第6号
COVID-19感染症まん延時の肝胆膵疾患治療-日本肝がん分子標的治療研究会提言による肝細胞癌治療-
電子書籍のみ
- 工藤 正俊,他(近畿大学)
- 発行日:2020年12月28日
- 〈要旨〉
日本肝がん分子標的治療研究会では2020年2月COVID-19アウトブレイクの状況をうけて,速やかに「COVID-19のアウトブレイク時における肝細胞癌治療のガイダンス」を作成するためのワーキンググループを組織し,ガイダンスを雑誌『肝臓』と『Hepatology Research』に同時に発表した.このガイダンスは,COVID-19パンデミックによって医療が逼迫した状況にあり,肝細胞癌の標準治療への制限を受けている状況を想定して作成したガイダンスである.おのおのの地域,施設における医療の逼迫度(COVID-19患者の入院状況,防護服などの物品,病床数)の状況,時期によって対応は全く異なると考えられるが,現在,COVID-19アウトブレイクは経済活動の再開とともに第二波をむかえ,今後,海外渡航が緩和されることによる第三波なども予想される.したがって有効なワクチン・薬剤などが開発され接種が全国民に行き渡るまでは2~3年程度はこの状況は持続することが想定されている.本提言がCOVID-19による医療崩壊の危機に万が一際した場合の肝細胞癌治療のあり方に関しての参考情報となるように願って作成した.
詳細
Treatment guidance of hepatocellular carcinoma during the COVID-19 outbreak: proposal by the Japan Association of Molecular Targeted Therapy for Hepatocellular Carcinoma(JAMTT-HCC)
工藤 正俊*1,8 黒崎 雅之*2,8 池田 公史*3,8 相方 浩*4,8 平岡 淳*5,8 鳥村 拓司*6,8 坂本 直哉*7,8
*1近畿大学医学部消化器内科学
*2武蔵野赤十字病院消化器科
*3国立がん研究センター東病院肝胆膵内科
*4広島大学大学院医系科学研究科消化器・代謝内科学
*5愛媛県立中央病院消化器内科
*6久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
*7北海道大学大学院医学研究院内科学講座消化器内科学教室
*8日本肝がん分子標的治療研究会「COVID-19 アウトブレイク時の肝細胞がん治療ガイダンス」作成ワーキンググループ