肝胆膵第81巻第6号
COVID-19による肝障害
電子書籍のみ
- 原 裕一,他(川崎医科大学)
- 発行日:2020年12月28日
- 〈要旨〉
世界的大流行となった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,特に重症例で肝酵素上昇を引き起こす.機序としてはウイルスによる直接的な障害よりも,投与薬剤やサイトカインストーム,低酸素などの関与が示唆される.COVID-19 で肝酵素上昇を認めた際は他疾患の有無を評価し,厳重な肝酵素のフォローが必要である.慢性肝疾患に合併した COVID-19例では,基礎疾患の治療が中断されることのないよう遠隔診療や電話診療を活用し,感染拡大防止に努める.代謝性脂肪肝疾患では肥満,糖尿病,高血圧の合併が多く,重症化のリスク要因となる可能性が示唆されている.肝硬変を持つ患者では高い致死率をみとめる.COVID-19による肝障害や肝疾患を有する患者への影響はまだまだ不明な点も多く,今後の検討が必要であるが当面は感染拡大防止策を講じながら,診療を進めていく必要がある.
詳細
Liver damage of COVID-19
原 裕一 日野 啓輔
川崎医科大学肝胆膵内科学