臨床精神医学第47巻第10号
研究報告 母子に発病した精神病をめぐる症候学・疾病論の一考察
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- 高橋 晶子・他(東邦大学)
- 発行日:2018年10月28日
- 〈抄録〉
本稿は,精神病の母子例について,Gaetan Gatian de Clerambaultが提唱した精神自動症の概念を援用し,症候学・疾患分類学的に検討した論文である。子は幼児期から精神遅滞があり20歳代に幻覚妄想が加わった接枝統合失調症,母は60歳代になってから無主題的・中立的な仮性幻覚で発病した慢性幻覚精神病と考えられたが,発症年齢や病像の異なる母子を一望すると,「年齢の法則」を踏襲しており,精神自動症の全体像が表現されていた。今日,精神科領域における診断は操作的診断に準拠することが一般的であるが,このような古典的概念を援用することで,精神病への理解がより深まることが期待される。
詳細
A symptomatic and nosographic study of the development of psychosis in a mother and her child
高橋 晶子1) 山口 大樹1) 萬屋 優子1) 根本 隆洋1) 濱田 秀伯2) 水野 雅文1)
1)東邦大学医学部精神神経医学講座
2)六番町メンタルクリニック