肝胆膵第77巻第1号
脂質・胆汁酸，腸内細菌の変化と肝病変
電子書籍のみ
- 齋藤 英胤，他（慶應義塾大学）
- 発行日：2018年07月28日
- 〈要旨〉
マウスを高コレステロール高脂肪食で飼育することにより，化学発癌物質の投与なしに非アルコール性脂肪肝炎を経て約40週間で肝細胞癌の発生を認めた．肝発癌には，マクロファージを伴う炎症や長鎖飽和脂肪酸をはじめとする多因子の関与があり，なかでも腸内細菌により代謝される胆汁酸の組成変化が最重要な因子と考えられた．Enterococcus種のなかにはchenodeoxycholic acid（CDCA）をursodeoxycholic acid（UDCA）に代謝する能力をもつ種があり，発癌リスクを低下させる可能性が示唆された．本モデルの肝発癌には，mTORの活性化が重要であることが判明した．
詳細
Changes of lipids, bile acids and gut microbiome in relation to hepatic pathology
齋藤 英胤 山田 翔士
慶應義塾大学大学院薬学研究科薬物治療学