肝胆膵第77巻第1号
胆汁酸とエネルギー代謝
電子書籍のみ
- 中村 杏菜，他（慶應義塾大学）
- 発行日：2018年07月28日
- 〈要旨〉
胆汁酸は単に脂質の消化吸収を促進する役割だけでなく，生体内の代謝を調節する，シグナル伝達分子としての役割を有することが明らかになってきた．特に，胆汁酸受容体であるG蛋白質共役受容体（GPCRs）であるTGR5/M-BARとファルネソイドX受容体（FXR）を介したシグナル伝達は脂質，糖質，エネルギー代謝の制御に関与していることから，肥満症をはじめとした代謝疾患の治療の標的因子として大きな注目を浴びている．本稿では胆汁酸をリガンドとして活性化するTGR5やFXRによる代謝制御メカニズムとメタボリックシンドロームに関連する疾患への作用効果について解説するとともに，近年話題となっている腸内細菌-胆汁酸を介した代謝制御についても触れていく．
詳細
The role of bile acids and metabolic effect in health and disease
中村 杏菜＊1 渡辺 光博＊1,2
＊1慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
＊2同 環境情報学部