臨床精神医学第54巻第2号

児童期逆境体験(Adverse Childhood Experiences:ACE)研究に関する最新の動向

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  • 松浦 直己(三重大学)
  • 発行日:2025年02月28日
  • 〈抄録〉
    ACE studyは1990年代にアメリカの疾病予防管理センター(CDC)とカイザー・パーマネンテ健康保険組合が共同で行った,公衆衛生分野で極めて影響力のある研究である。ACE studyは児童期の逆境体験が青年期・成人期の精神的・身体的健康問題発症に致命的な影響を及ぼすことを,見事なまでの量的反応関係とともに示した。一方近年の長期縦断的追跡研究では,ACEsの影響は認めつつも,青年期の「否定的情動性」や「疎外・孤独」といった要因の媒介効果の影響を明らかにした。ACEsは直接的に精神的健康問題発症に影響するのではなく,複数の要因が間接的に将来の予後不良に影響しているようである。特にACEsは,ストレスかつトラウマ要因となって個人の衝動制御力を低下させ,低セルフコントロールの状態をもたらす。そのことにより,不健康で危険な行動の適用や,さまざまな依存状態への発展につながるのであろう。このような分析結果は治療的介入のヒントにもなろう。

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Current trends in adverse childhood experiences (ACE) study
松浦 直己
三重大学教育学部