肝胆膵第85巻第6号

切除可能境界(borderline resectable)膵癌の外科的治療-補助療法も含めて-

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  • 中川 顕志,他(奈良県立医科大学)
  • 発行日:2022年12月28日
  • 〈要旨〉
    切除可能境界膵癌は,腫瘍が主要な血管に接触・浸潤を認め,標準的手術では高率に癌が遺残し,予後不良となる可能性があるものと定義される.手術先行では治療成績の向上に限界があり,治療戦略として術前・術後療法を加えた集学的治療の重要性が注目されている.特に術前治療はR0切除率の向上や微小遠隔転移の制御により生存期間延長につなげようとする試みがなされており,これまで集積されてきた知見をもとに最新の膵癌診療ガイドラインにおいて,切除可能境界膵癌に対しては術前治療を行い,治療効果を評価して手術適応を検討した後に手術を実施することが提案されている.切除可能境界膵癌に対する術後補助化学療法についてもエビデンスレベルの高い報告は存在しないが,少数のケースシリーズと後ろ向きコホート研究などにより有効である可能性が高いと考えられ,実施することを提案するとしている.現在進行中のランダム化比較試験により,切除可能境界膵癌が抱えるさまざまな臨床課題に関するエビデンスが創出されることが期待される.

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詳細

Multidisciplinary treatment for borderline resectable pancreatic cancer
中川 顕志 長井 美奈子 安田 里司 西和田 敏 寺井 太一 小原 有一朗 松尾 泰子 土井 駿介 阪田 武 庄 雅之
奈良県立医科大学消化器・総合外科