肝胆膵第82巻第5号
尾状葉の動脈
電子書籍のみ
- 大城 幸雄(東京医科大学茨城医療センター)
- 発行日:2021年05月28日
- 〈要旨〉
これまでに尾状葉の動脈についての研究報告は多くはない.今回,主に肝細胞癌に対し,診断治療目的に施行した動脈造影下CT(CTA)50 例を対象とし,尾状葉動脈について3次元画像解析システムを活用し検討した.尾状葉動脈の分岐は,単独枝タイプ,共通幹タイプ,交通枝タイプの3タイプに分類された.交通枝タイプは半数の症例に認められ,肝動脈交通枝(CA)のバリエーションは豊富であった.肝門部胆管への動脈血流の35%がCA,尾状葉動脈からであり,肝門部胆管への動脈血流は多くの尾状葉動脈や肝動脈交通枝が担っていることが明らかとなった.尾状葉動脈は,肝胆道外科で重要な意味をもつ肝門板において,血管叢を形成し左右肝動脈の交通を担い,さらに肝門部胆管の血流を担うという重要な役割をしていることが再確認された.
詳細
Artery of caudate lobe
大城 幸雄
東京医科大学茨城医療センター消化器外科