肝胆膵第76巻第5号
HBV挿入ゲノムのメチル化と発癌
電子書籍のみ
- 山本 博幸,他(聖マリアンナ医科大学)
- 発行日:2018年05月28日
- 〈要旨〉
HBVゲノムのヒトゲノムへの組み込みは,肝癌の90%程度で認められる重要な発癌機序の一つである.HBVゲノムのX遺伝子プロモーター近傍のCpGアイランドのDNAメチル化が重要で,肝癌組織ではメチル化が抑制されている.われわれは,HBVゲノム組み込み配列を含むヒトゲノム断片のみを効率的に抽出したあとに次世代シークエンサー解析を行い,HBV ゲノム組み込みとともにメチル化を解析する方法を開発した(G-NaVI法).肝癌細胞株・組織においてHBV挿入ゲノムと挿入部位近傍のヒトゲノムのDNAメチル化状態が相関していることを明らかにした.HBVゲノムの組み込みだけでなく,ダイナミックなメチル化病態が発癌に重要である.
詳細
Methylation of HBV integrants and tumorigenesis
山本 博幸*1 渡邊 嘉行*1,2 及川 律子*1 末永 大介*1 辻 顕介*1 重福 隆太*1 渡邊 綱正*1 伊東 文生*1
*1聖マリアンナ医科大学内科学 (消化器・肝臓内科)
*2総合川崎臨港病院内科