肝胆膵第76巻第5号
後天的な遺伝子発現制御機構
電子書籍のみ
- 牛島 俊和,他(国立がん研究センター研究所)
- 発行日:2018年05月28日
- 〈要旨〉
エピゲノムは,生理的には細胞がどの遺伝子を使用するのか(しないのか)を決定・記憶するための仕組みである.主に,DNAメチル化,ヒストンアセチル化・メチル化などのヒストン修飾からなる.エピゲノムの状態は細胞分裂後も安定に伝わるものがあり,細胞の記憶として働くと同時に,その異常はがんの発生・進展の原因となる.DNAメチル化は,DNAメチル基転移酵素DNMTにより付加され,TET酵素により除去され,MBD蛋白質などによりその意味が解釈される.ヒストンアセチル化は,ヒストンアセチル化酵素HATにより付加され,HDACにより除去され,BETファミリー蛋白質により解釈される.ヒストンメチル化は,何種類ものヒストンメチル化酵素,ヒストン脱メチル化酵素,さまざまなリーダー蛋白質により担われる.これらライター,イレイサー,リーダーのなかには,がんでの突然変異や発現異常を示すものが多い.
詳細
Epigenetic mechanisms for gene regulation
牛島 俊和 服部 奈緒子
国立がん研究センター研究所 エピゲノム解析分野