肝胆膵第83巻第6号
膵癌に対する強力集束超音波(HIFU)治療
電子書籍のみ
- 祖父尼 淳,他(東京医科大学)
- 発行日:2021年12月28日
- 〈要旨〉
High-intensity focused ultrasound(HIFU)療法は,その超音波発信源を多数取り付けた発信源から超音波を腫瘍の目的部位の一点に集束させ,体外から組織の焼灼を行う治療法である.焦点領域のみを80 ~ 100度に加熱し,熱エネルギーおよびキャビテーションの作用により組織を凝固壊死させ,焦点領域以外の介在組織にはほとんど影響を与えないという治療法である.われわれは切除不能膵癌に対するHIFU治療の安全性と有効性を検証するため,Yuande Bio-Medical Engineering社のFEP-BY02 HIFU Systemを用いて臨床試験を2008年12月より行った.その結果を含め,これまで報告されている研究やメタ解析の結果,その有用性について報告した.なお,膵癌に対するHIFU治療は問題点もあり,さらなる検討や症例の蓄積が必要であるが,われわれの検討では切除不能膵癌に対し,安全にHIFU治療を行うことが可能であり,今後,予後不良な膵癌への低侵襲治療の一つとなり得る可能性が示唆された.
詳細
High-intensity focused ultrasound(HIFU) therapy for pancreatic cancer
祖父尼 淳 殿塚 亮祐 向井 俊太郎 永井 一正 山本 健治郎 松波 幸寿 小嶋 啓之 中坪 良輔 平川 徳之 糸井 隆夫
東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野