肝胆膵第83巻第6号
膵管狭窄に対する経乳頭的膵管ステンティング
電子書籍のみ
- 中井 陽介,他(東京大学)
- 発行日:2021年12月28日
- 〈要旨〉
膵管狭窄は膵管内圧上昇による腹痛・膵炎の原因となるため,膵管ドレナージによる減圧とともに,良性狭窄の場合には狭窄拡張のための内視鏡的膵管ステント留置の適応となる.膵管ステントによる狭窄治療では,膵管造影による狭窄の評価,狭窄の突破,狭窄拡張,膵管ステント留置のステップが必要となる.膵管狭窄の原因としては最も多い慢性膵炎では,合併する膵石の治療もしばしば必要となる.また膵管癒合不全など病態に応じて主乳頭ではなく副乳頭からのアプローチも有用である.膵管ステントの選択にはplastic stentとfully-covered self-expandable metallic stentがあるが,本邦ではplastic stentのみ保険適用である.十分な狭窄拡張のためにplastic stent複数本留置が選択されることも多い.内視鏡治療は低侵襲である一方で,高度狭窄例では無効なこともあり,むやみに内視鏡治療を継続するのではなく,外科的治療も視野にいれた治療戦略も重要である.
詳細
Transpapillary pancreatic stents for pancreatic duct strictures
中井 陽介*1,2 白田 龍之介*1,2 石垣 和祥*2,3 斎藤 圭*2 斎藤 友隆*2 濱田 毅*2 高原 楠昊*2 水野 卓*2 木暮 宏史*2 藤城 光弘*2
*1東京大学医学部附属病院光学医療診療部
*2東京大学医学部消化器内科
*3東京大学医学部附属病院外来化学療法部