肝胆膵第79巻第6号

小児肝腫瘍のゲノム医療

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  • 檜山 英三,他(広島大学)
  • 発行日:2019年12月28日
  • 〈要旨〉
    小児肝腫瘍のなかで,その約80%を占める肝芽腫では,ゲノム変異としてはWntシグナルの遺伝子,特にCTNNB1(β-カテニン)遺伝子変異が8割以上に見いだされ,発癌に関与している.その他の遺伝子変異については共通したものはほとんどなく,メチル化によるインプリント遺伝子発現異常などが関与している.一方で,肝細胞癌においては成人の肝細胞癌のゲノム異常と共通したものが見いだされてきており,肝芽腫においても少数であるがTERT遺伝子変異などがみられ,これらは肝細胞癌との移行型として悪性度に関与している可能性が示唆されている.肝芽腫の予後不良例や肝細胞癌の進展例において,ゲノム検査によりactionableな変異を見いだせれば,precision medicine へと展開し治療成績が向上する可能性が示唆される.

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Advances and developments in genomic childhood liver tumor research
檜山 英三*1,2 兒島 正人*2
*1広島大学自然科学研究支援開発センター
*2広島大学病院小児外科