肝胆膵第79巻第6号
ゲノム医療のための病理組織検体の適切な取扱い
電子書籍のみ
- 金井 弥栄,他(慶應義塾大学)
- 発行日:2019年12月28日
- 〈要旨〉
病理組織検体を用いた分生物学的解析の成否は,試料の品質にかかっている.日本病理学会『ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程』を遵守し,細心の注意を払って組織検体を取り扱うことが望ましい.がんゲノム医療の現場で遺伝子パネル検査を適切に行うには,手術検体などを10%中性緩衝ホルマリンで速やかに固定し,固定時間は48時間にとどめることが肝要である.遺伝子パネル検査実施例の残余検体においては,適切な部位から研究のために組織を採取して凍結保存・バンキングし,次代のゲノム医療開発に資するゲノム研究を推進することが望ましい.本稿ならびに『ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程』により,ゲノム医療に関わる多職種の方々に,検体の適切な取り扱い方法に精通していただければ幸いである.
詳細
Preparation of pathological tissue specimens for genomic medicine
金井 弥栄 牧内 里美
慶應義塾大学医学部病理学教室