Bone Joint Nerve通巻第22号第6巻第3号
膝OA 発生を予測するMRI所見─OAI のデータを利用して─
電子書籍のみ
- 佐粧 孝久(千葉大学)
- 発行日:2016年07月01日
- 〈抄録〉
変形性膝関節症の患者数の増大は世界的な問題となっている.発症予防や進行予防の方策が求められているが,確立されたものはない.これらを達成するためには発症の前段階にある膝OAを見つけ出すことが有用であると考えられる.そこでわれわれはOsteoarthritis Initiative(OAI)のデータを用いて,MRI上で超早期OAに特徴的な画像所見を検討した.その結果,横断像にてみられるintercondylar notch に形成される骨棘が発見された.これは単純X線では同定できないような部位にある.そこでこの骨棘をHidden osteophyte formation on plain X-ray(HOPX)と名づけた.Kellgren and LawrenceグレードでOないしである膝について,HOPXの有無により,4年後に高率にKellgren and Lawrenceグレードの以上となることが予測できることがわかったのである.その他のMRI所見として,骨髄病変も予測因子となりえることもわかった.しかしながら,早期発見の指標とすることを考えるとHOPXの有用性のほうが高いと思われる.
詳細
MRI findings suggestive of future development of knee OA
佐粧 孝久
千葉大学医学部整形外科・予防医学センター