臨床精神医学第47巻第7号
児童精神科医からみた成人のトラウマ関連障害─複雑性PTSDへの治療パッケージ─
電子書籍のみ
- 杉山 登志郎(福井大学子どものこころの発達研究センター)
- 発行日:2018年07月28日
- 〈抄録〉
筆者の外来は,発達障害と子ども虐待の併存例が7割を占め,その親もまた,被虐待の既往と未診断の発達障害を併せ持った症例が多く,筆者はこれまで,親子の併行治療を実践してきた。子ども虐待によって引き起こされる問題は愛着障害と,慢性のトラウマであり,前者によって発達障害の,後者によって複雑性PTSDの臨床像が生じる。親の側も子どもと同一の問題を抱えており,極めて広範な臨床像を示しているため,慢性のトラウマに気づき,その治療を行わない限り,寛解が得られない。複雑性PTSDに対して安全な治療を行うことを目的とした治療パッケージを紹介した。複雑性PTSDへのさまざまな治療手技が開発されることを期待する。
詳細
Symptoms of trauma seen in adults; a treatment package for complex PTSD
杉山 登志郎
福井大学子どものこころの発達研究センター