肝胆膵第75巻第4号

膵癌の増殖,浸潤と治療不応性をつなぐ治療標的GSK3β

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  • 島崎 猛夫,他(金沢医科大学)
  • 発行日:2017年10月28日
  • 〈要旨〉
    膵癌は強度の腫瘍浸潤と治療耐性を特徴とする難治癌であり,その悪性形質の病理病態の理解と制御法の開発はがん治療の向上と健康増進には大切な課題である.膵癌の治療は,手術,抗がん剤,放射線,分子標的治療などを効果的に組み合わせて実施されている.このような集学的アプローチにもかかわらず,膵癌の治療成績は好ましくない状況が続いている.この十数年来,われわれと欧米諸国の研究グループは,蛋白質リン酸化酵素glycogen synthase kinase(GSK)3βのがん促進作用とそのメカニズムを明らかにし,GSK3β阻害によるがん治療効果を実証してきた.本稿では,GSK3βの多彩な機能に鑑み,膵癌難治性の元凶である腫瘍浸潤と治療不応性,耐性の病理病態をGSK3βに着目して概説する.そして,GSK3βが新しいがん治療法開発の標的分子としてふさわしいかを考察する.

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Pivotal roles of GSK3β, an emerging therapeutic target, in interconnecting proliferation,
invasion and therapy resistance in pancreatic cancer
島崎 猛夫*1,5 堂本 貴寛*5 宮下 知治*3 中田 光俊*4 元雄 良治*2 太田 哲生*3 源 利成*5,6
*1金沢医科大学総合医学研究所
*2同 腫瘍内科学 
*3金沢大学消化器・腫瘍・再生外科学 
*4同 脳神経外科学 
*5同 がん進展制御研究所腫瘍制御,金沢大学附属病院がんセンター
*6責任著者