肝胆膵第72巻第5号

  • 特集/胆汁酸研究の進歩と展望-これからのbreakthroughを目指して-
  • 発行日:2016年05月28日
  • 〈企画趣旨〉
     近年、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、癌などの予防・治療は生活習慣病として大きな課題である。一方、食生活習慣が引き金となって発症しうる消化器疾患、中でも食道癌、大腸癌、脂肪肝、NASH、炎症性腸疾患、虚血性腸炎、胆石症、胆管癌などは消化器生活習慣病とも言える。腸肝循環をする胆汁酸は小腸内で脂質や脂溶性ビタミンの消化・吸収を調節する.また、最近の胆汁酸レセプターの発見をきっかけに、様々な代謝経路を遺伝子レベルで制御する「シグナル分子」としての胆汁酸の役割が注目されつつある。さらに消化器疾患における遺伝子レベルでの胆汁酸の関与が示唆される.食道癌・大腸癌・肝癌発癌、NASH,NAFLD、 胆石形成など生活習慣病と関連の強い各種消化器生活習慣病と脂質・胆汁酸代謝との関連について基礎研究からの臨床応用性、臨床における病態解析並びに治療戦略を中心に企画したい。基礎・臨床の両面より、さらに今後の研究展開も含め広く、積極的な内容を目指したい。

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〈目次〉
〔巻頭言〕胆汁酸研究の最近の進歩 医療法人北晨会恵み野病院附属恵庭クリニック 牧野 勲
胆汁酸代謝に伴う病態・生理
胆汁うっ滞における肝のコレステロール・胆汁酸代謝動態の変化 福岡大学 竹山 康章,他
核内レセプター発現とNAFLD発症進展への胆汁酸代謝異常の関与 広島大学 児玉 尚伸,他
脂肪肝におけるGlucagon like peptide-1(GLP-1)・胆汁酸の関連 愛知医科大学 中出 幸臣,他
胆汁酸トランスポーターとNAFLDの関係 東京大学 奥新 和也,他
消化器生活習慣病における酸化ステロールの意義 東京医科大学茨城医療センター 池上 正,他
脂質代謝と胆汁酸との相互関係 独立行政法人国立病院機構九州医療センター 中牟田 誠,他
炎症性腸疾患における脂質・胆汁酸代謝と腸管吸収障害 東京医科大学茨城医療センター 岩本 淳一,他
胆汁酸代謝と発癌
食道への胆汁酸の影響と食道癌発癌機序 国立がん研究センター研究所 松﨑 潤太郎
脂質応答性核内受容体と大腸癌 日本大学 槇島 誠
大腸腺腫・大腸癌と脂質胆汁酸代謝異常 日本大学 大久保理恵,他
胆汁酸代謝異常に対する治療
FXR agonistとしての胆汁酸とその核内レセプターFXRの役割 高知大学 西原 利治,他
胆汁酸代謝調節によるメタボリック症候群の予防・治療−Rationale− 慶應義塾大学 中川 直哉,他
原発性胆汁性肝硬変における胆汁うっ滞治療のメカニズム−UDCAとベザフィブラート併用− 高知大学 岩﨑 信二,他
痒みの発生機序 順天堂大学 北村 庸雄,他
血液透析患者のかゆみに対する,κ(カッパ)受容体作動薬ナルフラフィン(レミッチ®)の作用機序 防衛医科大学校 熊谷 裕生,他
UDCAとアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬はNASH治療へ展開可能か? 奈良県立医科大学 浪崎 正,他
今後の展開
小児胆汁酸代謝の臨床的特徴 久留米大学 木村 昭彦
胆汁酸誘導体を用いた新規TGR5アゴニスト開発のための構造活性相関 広島国際大学 井口 裕介,他
胆汁酸の未知なる役割:造血と胆汁酸 ルンド大学 三原田 賢一
日本における胆汁酸研究の歴史からみたこれからの臨床展開 帝京大学 滝川 一
座談会
胆汁酸研究の進歩と展望−これからのbreakthroughを目指して− (司会)市田 隆文(湘南東部総合病院)/渡辺 光博(慶應義塾大学)/加川 建弘(東海大学)/松﨑 靖司(東京医科大学茨城医療センター)
シリーズ 知っておきたい稀な肝胆膵疾患
多発性内分泌腫瘍症1型 札幌医科大学 櫻井 晃洋
シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチ
肝細胞ロゼッタ 静岡県立静岡がんセンター 中沼 安二
シリーズ 薬剤を学ぶ−薬をいつもと別の視点からながめると
カテコールアミン類とその関連医薬品~構造と代謝経路 新潟薬科大学 杉原 多公通