肝胆膵第91巻第6号
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- 特集/薬物療法の進歩による肝細胞癌治療のイノベーション: 治癒を目指して
- 発行日:2025年12月28日
- 〈企画趣旨〉
2025年も薬物療法においては大きな進歩がみられた.HIMALAYA試験の5年フォローアップの成績やDpRに応じたOSの結果が公表され,STRIDE regimenで深い奏効を示した集団は治癒している症例が多いことも示唆された.CheckMate 9DW試験のexpanded analysisの結果も公表され,DpR>50%以上のdeep responderが37%の症例に,そしてDpR>75%のsuper deep responderの症例が18%にも認められたことが示された.このような症例は,ほとんどが治癒した症例と考えられる.またIO +抗VEGF/TKI + TACEにおいても治癒する症例が実臨床で多く経験されるようになってきた.このように薬物療法と従来の切除,Ablation,TACEなどとの組み合わせにより肝細胞癌治療そのものが大きく変貌しようとしている.肝細胞癌はいまや治癒し得る疾患へと変貌しつつある.本特集号では肝細胞癌の薬物療法の進歩により変化する肝細胞癌治療の治療変革を基礎から臨床,バイオマーカーまでを余すところなく網羅してcancer-freeの達成のための現状および課題について執筆していただくこととした.
詳細
〈目次〉
〔巻頭言〕薬物療法の進歩がもたらす肝細胞癌治療の新局面………北海道大学 坂本 直哉
〔特別鼎談〕
臨床的疑問を免疫学的基礎から読み解く
(司会)工藤 正俊(近畿大学)/西川 博嘉(京都大学)/土谷 薫(武蔵野赤十字病院)
Ⅰ.免疫療法の基礎
CTLA-4抗体の作用機序−Treg depletion− ………国立がん研究センター 田村 旺子,他
Immune coldをimmune hotに変えることは可能か………岡山大学 石野 貴雅,他
Ⅱ.Intermediate-stage肝癌治療のイノベーション
LEN-TACE sequential療法によるcancer-free達成の治療戦略………岩手医科大学 黒田 英克
TALENTACE試験結果の臨床的解釈………千葉大学 小笠原 定久
IMPACT試験の概要と期待される治療変革………京都府立医科大学 森口 理久,他
Ⅲ.Advanced stage肝癌治療のイノベーション
CheckMate 9DW試験のexpanded analysis(奏効の深さとPFS2)および日本人データの解釈………松任石川中央病院 山下 竜也,他
肝癌薬物療法の一次治療の選択−特にニボルマブ・イピリムマブの位置づけ−………武蔵野赤十字病院 土谷 薫,他
二次治療法選択の考え方−IO rechallenge,TKI,局所治療,リアルワールドデータを含めて−………近畿大学 上嶋 一臣
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法後の二次治療としてのレンバチニブ………近畿大学 工藤 正俊
IO–IO製剤におけるbiomarker-based治療戦略の重要性………藤田医科大学 葛谷 貞二
FDG-PETは肝細胞癌に対する免疫療法のimaging biomarkerとなり得るか………近畿大学 工藤 正俊,他
OS延長のための奏効の深さ(DpR)の重要性−SDは同じではない−………広島大学 河岡 友和
免疫療法の治療効果予測バイオマーカー探索………大阪大学 平尾 建,他
Ⅳ.薬物療法の進歩による切除不能肝細胞癌の治癒(cancer-free)の可能性
免疫療法後のconversion切除の現状………九州大学 伊藤 心二,他
切除不能肝細胞癌におけるcancer-free達成のための複合免疫療法とTACE併用の治療戦略………近畿大学 工藤 正俊,他
免疫療法の進歩と外科切除−免疫療法後のconversion surgery−………京都大学 石井 隆道,他
免疫療法後のcurative conversionとdrug-off基準………山口大学 佐伯 一成,他
シリーズ
第31回日本肝がん分子標的治療研究会最優秀演題Award
………………………順天堂大学医学部附属練馬病院 大久保 裕直
……………………………………武蔵野赤十字病院 安井 豊,他