肝胆膵第91巻第3号
書籍・雑誌販売のみ
- 特集/肝門部領域胆管癌−発生から診断・治療まで−
- 発行日:2025年09月28日
- 〈企画趣旨〉
胆のう・胆管癌による2023年の死亡数は17,239人であり,部位別死亡数では男性は7番目,女性は6番目に多く,さらにその5年相対生存率は男性で26.8%,女性では22.1%とメジャーながんの中では膵癌に次いで不良である.胆管癌は部位によって肝門部領域胆管癌と遠位胆管癌に分類されるが,肝門部領域胆管癌においては遠隔転移,周囲臓器・主要血管への浸潤以外に側方(水平方向)進展,特に肝側への腫瘍進展の程度が切除の可否に大きく影響する.また,原発性硬化性胆管炎(PSC),IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC),肝内胆管癌など鑑別を要する疾患もあるが,適切な治療法を選択するには正確な診断が必要であり,現在さまざまな画像診断モダリティや病理検体採取法によって,その鑑別診断・進展範囲診断が試みられている.また,治療アルゴリズムを整理していくうえでの切除可能性分類の提唱,遺伝子プロファイルに基づいた薬剤選択も取り入れられつつあり,術前・術後の補助化学療法,切除不能例における薬剤選択,状況に応じた胆道ドレナージ法の検討も進んでいる.本特集では,こうした肝門部領域胆管癌の診断・治療についての最新の状況について取り上げる.
詳細
〈目次〉
〔巻頭言〕肝門部領域胆管癌診療のこれまでとこれから………群馬大学 調 憲
Ⅰ.総 論
肝門部領域胆管癌の発生と病理………九州大学 相島 慎一
肝門部領域胆管癌の切除可能性分類の現状と展望………名古屋大学 尾上 俊介,他
肝門部領域胆管癌と遠位胆管癌はどう違うか………日本大学 齋藤 圭,他
Ⅱ.診 断
肝門部領域胆管癌と鑑別すべき疾患………名古屋市立大学 内藤 格,他
肝門部領域胆管癌の画像診断−経乳頭的生検も含む−………名古屋大学 川嶋 啓揮,他
肝門部領域胆管癌の内視鏡を用いた病理検体採取………東京医科大学 濱 憲輝,他
Ⅲ. 治 療
肝門部領域胆管癌に対する根治的外科手術………千葉大学 高屋敷 吏,他
肝門部領域胆管癌に対する術前補助療法
国立がん研究センター中央病院………越智 清暁,他
肝門部領域胆管癌に対する術後補助化学療法………栃木県立がんセンター 仲地 耕平
肝門部領域胆管癌に対する術前胆道ドレナージ………静岡県立静岡がんセンター 石渡 裕俊,他
肝門部領域胆管癌の周術期管理………横浜市立大学 澤田 雄,他
肝門部領域胆管癌に対する生体肝移植………熊本大学 日比 泰造
肝門部領域胆管癌の術後長期合併症に対する治療………埼玉医科大学国際医療センター 谷坂 優樹,他
切除不能肝門部領域胆管癌に対する化学療法………山口大学 井岡 達也
肝門部領域胆管癌に対する放射線・粒子線治療(陽子線・重粒子線)………兵庫県立粒子線医療センター 寺嶋 千貴
ステント開存期間と内視鏡的再治療からみた切除不能肝門部領域胆管癌・悪性肝門部胆管狭窄に対する胆管ドレナージ法………松波総合病院 奥野 充,他
シリーズ
第31回日本肝がん分子標的治療研究会最優秀演題Award
………………………広島大学 河岡 友和,他