肝胆膵第89巻第6号
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- 特集/薬物療法により進化する肝細胞癌治療
- 発行日:2024年12月28日
- 〈企画趣旨〉
2024年は肝細胞癌の薬物療法において画期的な年となった.まず1月のASCO-GIではTACE + PD-L1抗体+抗VEGF抗体とTACE単独を比較したPhase 3試験であるEMERALD-1試験がprimary endpointであるPFS延長を示したことが発表された.また6月のASCOではPD-1抗体と抗CTLA-4抗体の組み合わせであるPhase 3 CheckMate 9DW試験が成功しニボルマブ+イピリムマブの素晴らしい成績が発表された.さらには9月のESMOで新しい試験の発表も公表されることが期待されている.このように肝癌の薬物療法の進歩により従来の切除,Ablation,TACEなどとの組み合わせにより肝細胞癌治療そのものが大きく変貌しようとしている.本特集号では肝細胞癌の薬物療法の進歩により進化する肝細胞癌治療の最新の進歩を余すことなく網羅して執筆していただくこととした.
詳細
〈目次〉
〔巻頭言〕肝細胞癌の第1選択治療としての薬物療法………京都大学 波多野 悦 朗
〔特別鼎談〕
肝細胞癌に対する免疫療法の臨床的疑問を基礎から読み解く
(司会)工藤 正俊(近畿大学)/西川 博嘉(名古屋大学)/土谷 薫(武蔵野赤十字病院)
Ⅰ.Early stage
根治療法後の補助療法(adjuvant)試験のまとめと解釈………千葉大学 小笠原 定久,他
切除前のneo-adjuvant−LEOPARD-Neo試験の概要と臨床に与えるIMPACT−………九州大学 伊藤 心二,他
周術期前後の補助療法(perioperative supportive treatment)の意義………京都大学 西尾 太宏,他
新しい切除基準によるborderline resectable/unresectable HCCと薬物療法の与えるIMPACT………虎の門病院 進藤 潤一
Ⅱ.Intermediate-stage HCC
EMERALD-1試験の結果とその解釈−治療方針は変わるか−………国立がん研究センター東病院 平 知尚,他
その他の試験(LEAP-012試験を含めた)の結果と解釈−治療方針は変わるか−………広島大学 河岡 友和
ICI+anti-VEGF/TKI+TACEのrationaleと今後の展開………近畿大学 工藤 正俊,他
BCLC-B stage HCCにおける腫瘍縮小後のconversion療法………長崎大学 松隈 国仁,他
SD〜slowPD症例における複合免疫療法とTACEの併用の重要性………札幌病院 児玉 芳尚,他
Ⅲ.Advanced HCC
CheckMate 9DW試験の結果と治療における位置づけ………藤田医科大学 葛谷 貞二
一次治療における奏効の3要素(ORR,DpR,DoR)の重要性………近畿大学 工藤 正俊
IO+anti-VEGF/TKI製剤とIO+IO製剤のレスポンスパターンの違い………近畿大学 工藤 正俊,他
進行肝癌における薬物療法(免疫療法含む)においてTACEを加える意義………近畿大学 上嶋 一臣
肝細胞癌の複合免疫療法における奏効予測バイオマーカー探索の現状………大阪大学 小玉 尚宏
シリーズ 第29回日本肝がん分子標的治療研究会最優秀演題Award………高松赤十字病院 二宮 七海,他