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「肝胆膵」(77巻2号・2018年8月号)
特集/急速に変貌する肝細胞癌の薬物療法2018 Update

「肝胆膵」(77巻3号・2018年9月号)
特集/慢性炎症から肝胆膵癌にいたるランドスケープ

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 76巻5号(2018年5月号) 特集/肝胆膵疾患のエピジェネティクスを学ぶ
定価(\)本体 3,100+税 送料(\) 200


編集後記

 次世代シークエンサーの開発により,疾患のゲノム異常に関して多くの情報が蓄積されている.例えば,肝細胞癌や膵胆道癌を含めた悪性腫瘍の網羅的遺伝子情報が明らかとなった.またGWAS(genome wide association study)により非腫瘍性疾患の疾患感受性遺伝子多型も同定されてきた.しかしながら,疾患のゲノム的な側面が明らかになるにつれ,エピゲノムの重要性が再認識されたのも事実である.特に,腫瘍ではエピゲノムを制御する分子にしばしば遺伝子変異が確認されており,ゲノム異常とエピゲノム異常の直接的な関連性が指摘されている.さらに非腫瘍性疾患では,ゲノム解析で明らかにされた知見は疾患感受性の10%程度しか説明できず,後天的要因の方がより重要ではないかとの意見もある.
 そこで今回,肝胆膵疾患の発生や進展におけるエピゲノム異常をまとめる特集を企画し,この領域で活躍されている先生方にご執筆をお願いした.これまでエピゲノムの知識の少なかった読者にとっても,情報を整理する機会になれば幸いである.
 この領域は今後間違いなく発展するだろう.しかし,そのためには,次世代シークエンサーがゲノム医療を爆発的に発展させたような技術革新が必要となるだろう.また,すでにエピゲノム関連の薬剤も利用可能となり,血液系腫瘍では臨床で使用されている.今後は,肝胆膵領域を含めた他臓器腫瘍への応用やほかの薬剤の開発が進められると想定される.この伸びしろが大きく,可能性を秘めた研究領域に今後多くの先生が参画されることを期待して編集後記としたい. (全 陽)


 

目次

〔巻頭言〕ゲノムからエピゲノムへのパラダイムシフト  東京医科歯科大学 田 中 真 二…847
エピジェネティクスの基礎
 後天的な遺伝子発現制御機構  国立がん研究センター研究所 牛島 俊和,他…851
 がんのエピゲノム異常  慶應義塾大学 新 井 恵 吏…859

肝疾患のエピジェネティクス 
 肝炎ウイルス感染が肝細胞に及ぼすエピジェネティックな影響  名古屋市立大学 岡 本 泰 幸…867
 HBV挿入ゲノムのメチル化と発癌  聖マリアンナ医科大学 山本 博幸,他…873
 NAFLD線維化進展のエピジェネティクス  大阪大学 堀田紀久子,他…881
 Non-alcoholic steatohepatitis(NASH)由来肝細胞癌のゲノム網羅的DNAメチル化解析
  慶應義塾大学 藏本 純子,他…891
 肝細胞癌におけるヒストン修飾−分子標的薬の可能性−  千葉大学 齊藤 朋子,他…897
 癌幹細胞におけるエピゲノム異常  東京医科歯科大学 島田  周,他…905

胆道疾患のエピジェネティクス
 胆道癌の網羅的ゲノム・エピゲノム解析−国際共同研究の結果から−  国立がん研究センター研究所 十 時   泰…915
 胆管癌におけるHDAC阻害剤の有効性  大阪大学 新毛  豪,他…925
膵疾患のエピジェネティクス
 自己免疫性膵炎における癌抑制遺伝子のメチル化  信州大学 上原  剛,他…933
 膵IPMNのメチル化解析と診断への応用  東北大学 畠  達夫,他…939
 膵癌におけるメチル化によるムチン発現調節  鹿児島大学 横山 勢也,他…945

〔座談会〕
“肝細胞癌:Beyond the genome”…953
(司会)全 陽,西田直生志,千葉哲博,田中真二


シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチ(39)
 肝硬変再生結節の破壊,消失 福井県済生会病院 中 沼 安 二…965  

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