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「肝胆膵」(75巻4号・2017年10月号)
膵癌研究Cutting Edge−From Carcinogenesis to Metastatic Colonization−

「肝胆膵」(75巻5号・2017年11月号)
特集/臓器間ネットワークからみた肝胆膵の恒常性とその破綻

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 74巻6号(2017年6月号) 特集/自己免疫性肝・胆管疾患のupdate
定価(\)本体 3,100+税 送料(\) 150


編集後記

 自己免疫性肝・胆管疾患は,病因は不明ながらも,古くからその存在が知られ,依然として存続し,病態,診断,治療の側面から注目されてきた.最近の肝臓関係,消化器関係の学会で,頻回に主題として取り上げられ,その都度,いくつかのトピックスが議論されている.本特集では,自己免疫性肝・胆管疾患,特に代表的疾患であるAIH,PBC,PSCを中心に,最新の話題を専門の先生方に解説していただいた.
 まず,これら疾患の発生の基礎として,肝・胆管の解剖学的特殊性の問題,最近の感受性遺伝子の研究,さらに標的細胞の免疫学的障害機序を取り上げていただいた.
 AIHでは,わが国から発信された急性発症型AIH,特に急性肝炎型AIHの病態が注目されている.ほかの急性肝疾患との鑑別が必ずしも明確とはいえないが,現在,病理診断を含め,大きく進歩,展開している領域である.AIHと自己免疫現象を伴うNASH,薬物性肝障害との異同は日常診療で,常に病理医,臨床医を悩ます問題である.小児期のAIHも症例数は多くないが注目されており,PSCとのオーバーラップが大きな問題となっている.
 PBCでは,胆管上皮の自己防御機序である,重炭酸イオンアンブレラとその異常が,PBCの病態解明に重要な話題を提供している.また,免疫制御とmiR-139-5Pの関連性,新しい薬物治療の取り組みが注目されている.
 PSCでは,IgG4関連疾患との鑑別診断がほぼ確立された.また,病期分類として,欧米諸国を中心に,PBCの病期,活動度分類が応用されようとしている.
 ウイルス性肝炎,NAFLD/NASHなどの非腫瘍性肝疾患に関する診断,治療が急速に展開しているなかで,自己免疫性肝疾患,胆管疾患も確実に進歩している.これら疾患の現状を理解していただき,この特集が明日からの診療に役立てば,本特集を企画したものとして,望外の喜びである.
(中沼 安二)


 

目次

〔巻頭言〕わが国の自己免疫性肝・胆管疾患診療のこれまでと将来に向けて 帝京大学 滝 川   一…845
自己免疫性肝・胆管疾患の病態
 肝臓,胆管を特徴づける免疫異常 国際医療福祉大学 銭 谷 幹 男…847
 AIH,PBC,PSCの遺伝的背景−GWAS解析を中心に− 長崎大学 中 村   稔…853
 AIH,PBC,PSCにおける標的細胞の免疫学的細胞障害機序 金沢大学 佐々木 素 子…867
 AE2発現低下とPBC,PSCの胆管病変−酸化ストレス,細胞老化を中心に− 九州大学 下 田 慎 治…877
 急性肝炎様発症AIHの臨床病理 愛媛大学 阿 部 雅 則…885
 PBCの免疫制御とmiR-139-5p 山形大学 勝見 智大,他…891
 AIHの病理 金沢大学 原 田 憲 一…899
 PBCの病期分類,活動度分類−原発性硬化性胆管炎(PSC)の病態把握への応用− 福井県済生会病院 中沼 安二,他…907
 PBCにおける自覚症状−「無症候性」をめぐって− 帝京大学 田 中   篤…917
診断,治療
 PBC,PSCの薬物治療 新潟大学 山際  訓,他…925
 PBCの免疫治療 株式会社カン研究所 安田 信之,他…933
 AIHステロイド治療抵抗例 虎の門病院 鈴 木 義 之…941
 PBC,PSCに対する肝移植−日本の現状と欧米との比較− 京都大学 山敷 宣代,他…951
境界領域,辺縁領域
 薬剤誘発性自己免疫性肝炎 神戸大学 全     陽…959
 自己免疫像を伴うNASH−AIHとの鑑別を中心に− 福島県立医科大学 高橋 敦史,他…965
 肝炎像を伴う原発性胆汁性胆管炎(PBC)−肝炎型PBC or PBC-AIHオーバーラップ− 久留米大学 有永 照子,他…971
 PSCを伴うAIH−小児例を中心に− 社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市東部病院 乾 あやの,他…977
 IgG4異常を伴うAIH,PSCの臨床病理学的・遺伝学的特徴 信州大学 梅 村 武 司…983
座談会 “AIH,PBC,PSCのupdate”…989
シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチ㉚
 胆汁性インターフェイス肝炎 福井県済生会病院 中 沼 安 二…1005  

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