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「肝胆膵」(75巻4号・2017年10月号)
膵癌研究Cutting Edge−From Carcinogenesis to Metastatic Colonization−

「肝胆膵」(75巻5号・2017年11月号)
特集/臓器間ネットワークからみた肝胆膵の恒常性とその破綻

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 74巻4号(2017年4月号) 特集/今 IPMNをどう診るか
定価(\)本体 3,100+税 送料(\) 150


編集後記

 2015年に米国消化器病学会より,無症候性腫瘍性膵嚢胞に関する診療ガイドラインが発表された.5年間変化がなければ経過観察の中止が提唱され,議論を引き起こしている.ただ,IPMN診療に携わっている多くの先生方は,悪性変化が5年を境に変わることはないことを経験している.長期的なエビデンスはいまだ乏しいとはいえ,まもなく改訂されるIPMN国際診療コンセンサスガイドライン第3版には,これに対抗した内容が盛り込まれる見込みである.
 従来,膵癌とIPMNに認められる遺伝子異常に大きな違いはなかった.しかし,IPMNに特徴的な遺伝子異常としてGNAS遺伝子変異が登場し,IPMNの発癌機構の解明に新たな光を当てている.GNAS遺伝子は膵以外の腫瘍にも検出されているが,比較的進行が遅く,粘液豊富な腫瘍が特徴であり,良・悪性とは関連しない.まさに,主膵管が拡張して粘液が豊富な古典的IPMNに,この遺伝子変異が検出される頻度が高い.一方,GNAS遺伝子変異は通常型膵癌には検出されていない.通常型膵癌と思われた症例にGNAS遺伝子変異が検出された場合は,IPMN由来の癌と考えられる.IPMN併存膵癌には通常型膵癌と比較して予後のよい症例があることが知られているが,膵癌の積極的な切除の適応を考慮すべき症例のマーカーとして,この遺伝子変異が使える可能性も考えられる.
 日本膵臓学会大会と合同で,国際膵臓学会が4年に一度,日本で開催されている.手軽に国際的な最新知見が得られることは,膵臓の診療や研究に携わる人には大きな利点である.今回もなかなか充実した内容であったと思われた.そこで,IPMNや膵癌に関連する主題について,司会者または専門家に概要・要点について解説いただいた.残念ながら学会に参加できなかった方,他のセッションと重複して出席できなかった方には,是非一読されることをお勧めしたい.
(多田 稔)


 

目次

〔巻頭言〕IPMN診療の歩みと今後の課題 九州大学 中 村 雅 史…509
病理学診断up dateおよび鑑別診断
 IPMN最新の病理学的定義−ボルティモア・コンセンサス会議での議論を含めて− 自治医科大学 福 嶋 敬 宜…511
 ITPN(intraductal tubulopapillary neoplasm)−IPMNとの鑑別方法− 東京医科大学 山 口   浩…519
 IPMNと類似画像を示す自己免疫性膵炎 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 中森 正二,他…527
IPMN遺伝子解析の進歩
 IPMNにおけるGNAS変異 東京女子医科大学 古 川   徹…533
 遺伝子異常からみたIPMN関連膵癌の特徴 北海道大学 大森 優子,他…541
 GNAS以外のIPMNの遺伝子異常−IPMNおよびIPMN由来膵癌とSWI/SNFクロマチンリモデリング因子− 京都大学 福田 晃久,他…551
 2016 JPS/IAP Symposium: Precursor lesions in the pancreas – current concepts−概要およびコンセンサス− 神戸大学 全   陽,他…559
サーベイランスをめぐる諸問題 AGA腫瘍性膵嚢胞ガイドラインの概要,インパクト,問題点 旭川医科大学 水上 裕輔,他…565
 IPMN経過観察方法−USの有用性と限界− 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 蘆田 玲子,他…573
 IPMN経過観察におけるEUSの有用性 近畿大学 鎌田  研,他…583
 膵液細胞診・EUS-FNAの適応,有用性 愛知県がんセンター中央病院 肱岡  範,他…587
 IPMNの予後を決める因子は? 北海道大学 川久保和道,他…597
 家族性膵癌におけるIPMNの位置づけ−2016 JPS/IAP Symposium“Familial pancreatic cancer registry and its implication to clinical managements”を踏まえて− 京都大学 高折 恭一,他…601
 IPMN術後のサーベイランス方法−主膵管型,分枝型の臨床・病理学的特徴に基づいて− 九州大学 宮坂 義浩,他…607
 膵嚢胞(IPMNは除く)はどう診るか 医療法人社団明生会イムス札幌消化器中央総合病院 丹野 誠志,他…613
 2016 IAP International Consensus Meetingの概要−コンセンサスは得られたか?− 山形大学 木 村   理…619
座談会 “IPMNをどう診るか−GNAS遺伝子に焦点をあてて−”………………………………………627
シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチ㉘ 中心性瘢痕 福井県済生会病院 中 沼 安 二…491
 

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