今後の特集のご案内

「肝胆膵」(75巻4号・2017年10月号)
膵癌研究Cutting Edge−From Carcinogenesis to Metastatic Colonization−

「肝胆膵」(75巻5号・2017年11月号)
特集/臓器間ネットワークからみた肝胆膵の恒常性とその破綻

バックナンバーはこちら



 73巻5号(2016年11月号) 特集/新規技術が創り出す肝疾患診療のスペクタクル
定価(\)本体 3,100+税 送料(\) 150


編集後記

本号の編集後記をしたためている最中に今年のノーベル医学生理学賞の発表があり,大隅良典先生(東京工業大学栄誉教授)が単独受賞した.奇しくも本誌では8月号に「肝胆膵疾患とオートファジー」という特集を組んだばかりであり,企画担当された編集委員の中沼先生のファインプレーである.ぜひ読者の先生方におかれては,このブームが冷めないうちに今一度読み返していただければと思う.そして同号にどのくらい大隅先生の仕事が引用されているかみていただきたい(結構驚かれると思う).
オートファジーのような斬新な考え方はそう度々出てくるものではない.そしてそのような新概念の誕生を後押しする,あるいは展開させるのに新規の技術が貢献していることが多い.新しい技術の萌芽はたくさんあり,この中で臨床現場まで実際に生き残るものは限られてもいる.ただし,その新規技術について,新しいアプリケーションとして展開させるのは使用者のアイデア次第でもある.逆に言うと,新規技術を生かすも殺すも研究者が握っているのも事実である.すなわち,アイデア次第で新しい切り口でメカニズムの解明をすることも可能であり,本特集号でも幾つかそのようなものもある.東京大学の大岸先生のものはその最たるもので,驚いたことに大岸先生は今年の3月まで医学部の6年生であった.学部学生でありながら,御本人の好奇心でメカニズムについて興味を持ち,新規技術を用いて解析・解明して指導教授3名と共に4名の共著として7月に一流誌に論文出版している.まだまだ日本の医療人の知的好奇心は健在なり,と信じたい.一方,危惧しているのは,このような新規技術へのアクセシビリティーについての施設間格差が大きくなってきている点である.この格差が研究者・医師の偏在に拍車をかける危険性すらある.資源を集中させるということと,基盤としてあまねく広く普及させることというバランスの舵取りは難しい問題であるが,それを誰が行うのかということを含めてまだまだ未解決の問題点は多い.(上野 義之)


 

目次

〔巻頭言〕新規技術がもたらす肝疾患診療のパラダイムシフト 熊本大学 佐々木   裕…653


診断への応用

高度MRIを用いた非アルコール性疾患の画像診断 横浜市立大学 今城 健人,他…655

FibroscanとMRIを用いたNAFLDの診断 虎の門病院 斎 藤   聡…665

体外走査超音波によるサルコペニアの診断 千葉大学 丸山 紀史,他…673

NGSを用いたHCV肝炎ウイルス耐性変異の解析 山梨大学 前川 伸哉,他…679

肝癌におけるcirculating tumor DNAの研究 広島大学 大野 敦司,他…691

NGSを使った網羅的治療ターゲットの検索と治療への応用 −SCRUM-Japan/GI-SCREEN-Japanの試み− 国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 岡本  渉,他…699

デジタル画像解析技術を用いた肝病理組織の定量的評価 慶應義塾大学 橋口 明典,他…703

病因の解析

肝炎における睡眠障害のアクティグラフでの評価 兵庫医科大学 榎本 平之,他…713

肝エネルギー代謝とエピゲノム解析のマルチオミクス解析 ブラウン大学ロードアイランド病院 長岡 克弥,他…719

高速液体クロマトグラフィに基づくDNAメチル化診断専用機器などを用いた肝発癌リスク診断 慶應義塾大学 金井 弥栄,他…725

NGSを用いたPBCの病型診断 山形大学 勝見 智大,他…733

ヒト型ロボットによる高精度実験手技:次世代医学研究の実現にむけて 大阪大学 三賀森 学,他…741

“差分プロテオゲノミクス法”を用いたHCV由来クリオグロブリン血症における病的自己抗体の解析 東京大学 大岸 誠人,他…747

治療への応用

US-US fusionを用いたRFAと治療効果判定 近畿大学 南  康範,他…757

肝切除navigation systemを用いた手術 −シミュレーションからナビゲーションへ− 関西医科大学 松井 康輔,他…761

ゲノム編集法を用いた肝癌治療 東京医科歯科大学 島田  周,他…769

ICG蛍光HCCに対する近赤外光レーザー照射による光線力学療法 東京大学 金子 順一,他…779

HCCに対する体幹部定位放射線治療(SBRT) 社会医療法人財団互恵会大船中央病院 武田 篤也,他…787

座談会“新規の技術はわれわれをどこに導くのか”……………………………………………………797






特別寄稿 大隅良典先生のノーベル医学生理学賞受賞に寄せて
大隅良典栄誉教授のノーベル賞受賞と『肝胆膵』の慧眼 『肝胆膵』編集委員長 市 田 隆 文…812



シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチ24

肝,胆道ステム細胞とその病理 福井県済生会病院 中 沼 安 二…815



シリーズ 知っておきたい稀な肝胆膵疾患13
von Hippel-Lindau病 五十嵐内科 五十嵐久人,他…821  

バックナンバーはこちら