今後の特集のご案内

「肝胆膵」(74巻6号・2017年6月号)
特集/自己免疫性肝・胆管疾患のupdate

「肝胆膵」(75巻1号・2017年7月号)
特集/ニュートリゲノミクスから斬る肝胆膵疾患

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 72巻5号(2016年5月号) 特集/胆汁酸研究の進歩と展望―これからのbreakthroughを目指して―
定価(\)本体 3,100+税 送料(\) 150


編集後記

「胆汁酸を巡る研究のあり方と臨床応用をテーマとして特集を組みたいので,肝胆膵のGuest Editorとして企画をお願いしたい.」との依頼を昨年暮れに市田先生より頂いた.C型肝炎の臨床研究も最終章に入り,肝炎後の肝臓病研究のあり方が議論される昨今である.この時期によい機会かと思い,ライフワークである胆汁酸についての特集企画なので快諾した次第である.最近の胆汁酸研究の主軸として,胆汁酸レセプターの発見をきっかけに,様々な代謝経路を遺伝子レベルで制御する「シグナル分子」としての胆汁酸の役割がある.さらに近年,消化器疾患における遺伝子レベルでの胆汁酸の関与が示唆されるようになった.そこで今回,生活習慣病と関連の強い各種消化器生活習慣病と脂質・胆汁酸代謝との関連について,基礎研究からの臨床応用,臨床における病態解析並びに治療戦略を中心に企画を試みた.本研究において自前のデータを持っておられる第一線の先生方に執筆をお願いした.それぞれの項目には,難解な内容や,どうしてもリンクするため重なる内容があるが,しかし各方面へのアプローチがよくわかるものと思う.本誌において胆汁酸に関するテーマが特集として組まれたのは,2000年が最後である.その時の内容は,「胆汁酸の腸肝循環機構を巡る最近の話題」という企画であり,今回の巻頭言をお願いした牧野勲先生が企画された.巻頭言は,私の師匠である恩師:故大菅俊明先生によるものであった.改めて読むと,くしくも「胆汁酸研究の将来において,最後まで残るのは生活習慣病であろう.」と記されてある.この20年弱の時代を経て今回のテ−マのようなところへ行き着いてきたのだと思う.座談会での私の発言でもあるが,先人の業績を大事にし,それぞれの専門家とチームを組んで,世界と戦う姿勢を打ち出さないと,出遅れて二番煎じとなってしまう危険性がある.是非とも多くの研究者同士が議論し合い,共同して世界のトップを走ることができればと思う.この特集が読者の皆さんにとって,胆汁酸研究の最新の進歩と今後の研究展開における立ち位置を理解して頂き,興味を深めて頂ければ企画した意義が大いなるものとなることを願ってやまない. (松㟢 靖司)


 

目次

〔巻頭言〕胆汁酸研究の最近の進歩

   医療法人北晨会恵み野病院附属恵庭クリニック 牧 野   勲…781

胆汁酸代謝に伴う病態・生理

 胆汁うっ滞における肝のコレステロール・胆汁酸代謝動態の変化

   福岡大学 竹山 康章,他…785

 核内レセプター発現とNAFLD発症進展への胆汁酸代謝異常の関与

   広島大学 児玉 尚伸,他…793

 脂肪肝におけるGlucagon like peptide-1(GLP-1)・胆汁酸の関連

   愛知医科大学 中出 幸臣,他…799

 胆汁酸トランスポーターとNAFLDの関係

   東京大学 奥新 和也,他…809

 消化器生活習慣病における酸化ステロールの意義

   東京医科大学茨城医療センター 池上  正,他…815

 脂質代謝と胆汁酸との相互関係

   独立行政法人国立病院機構九州医療センター 中牟田 誠,他…823

 炎症性腸疾患における脂質・胆汁酸代謝と腸管吸収障害

   東京医科大学茨城医療センター 岩本 淳一,他…827

胆汁酸代謝と発癌

 食道への胆汁酸の影響と食道癌発癌機序

   国立がん研究センター研究所 松 㟢 潤太郎…833

 脂質応答性核内受容体と大腸癌

   日本大学 槇 島   誠…839

 大腸腺腫・大腸癌と脂質胆汁酸代謝異常 日本大学 大久保理恵,他…847

胆汁酸代謝異常に対する治療

 FXR agonistとしての胆汁酸とその核内レセプターFXRの役割

   高知大学 西原 利治,他…853

 胆汁酸代謝調節によるメタボリック症候群の予防・治療− Rationale −

   慶應義塾大学 中川 直哉,他…859

 原発性胆汁性肝硬変における胆汁うっ滞治療のメカニズム

  −UDCAとベザフィブラート併用− 高知大学 岩㟢 信二,他…869

 痒みの発生機序

   順天堂大学 北村 庸雄,他…877

 血液透析患者のかゆみに対する,κ(カッパ)受容体作動薬

  ナルフラフィン(レミッチ®)の作用機序 防衛医科大学校 熊谷 裕生,他…883

 UDCAとアンギオテンシンU受容体拮抗薬はNASH治療へ展開可能か?

   奈良県立医科大学 浪崎  正,他…893

今後の展開

 小児胆汁酸代謝の臨床的特徴 久留米大学 木 村 昭 彦…903

 胆汁酸誘導体を用いた新規TGR5アゴニスト開発のための構造活性相関

   広島国際大学 井口 裕介,他…913

 胆汁酸の未知なる役割:造血と胆汁酸

   ルンド大学 三原田  賢一…923

 日本における胆汁酸研究の歴史からみたこれからの臨床展開

   帝京大学 滝 川   一…931  

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