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「肝胆膵」(75巻1号・2017年7月号)
特集/ニュートリゲノミクスから斬る肝胆膵疾患

「肝胆膵」(75巻2号・2017年8月特大号)
特集/肝細胞癌の化学療法が変わる

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 70巻6号(2015年6月号) 特集/microbiome(腸内細菌)と肝胆膵領域の新世紀
定価(\)本体 3,000+税 送料(\) 150


編集後記

 今回の特集は「腸内細菌」である.肝胆膵ではまだ比較的なじみがないかもしれないが,消化管はもちろん消化器以外の領域でも大きく注目されているテーマである.これまでの培養による研究では限界があり,その全容をつかむことができなかったものが,近年の技術によりその宿主であるヒトに与える影響が予想以上に大きいことが報告されている.アレルギー性疾患や,精神疾患,そして代謝性疾患など,極めて多岐にわたる分野でもホットな話題である.つい先日もNHKの特集で世界的に競争が激烈な分野となりつつあることが紹介されたのは記憶に新しい.今回は基礎的な技術面の進歩から肝胆膵領域の各論に至るまで,この分野に早くから着目していた先生方に執筆いただいている.まだまだこの腸内細菌だけでヒトの生態系�
�語ることはできないが,少なくともこれまでのヒト遺伝子解析だけでは説明のつかない事象が腸内細菌との「共生」という点からアプローチされるであろう.本号の中でも触れられているが,腸内細菌の影響は門脈血を介して肝臓にまず現れるはずであり,今後は肝胆膵に具体的にいかなる影響を及ぼしているかが検討されるであろう.しかし,あまりにも多くの遺伝子がありすぎて,特定の個々の細菌について解析するのはかえって難しい様相も呈している.また,生体個々の免疫系の成熟により,共生できるものとそうでないものに分離することもあるはずで,この点は「三つ子の魂百までも」のたとえのように,外的に細菌叢を投与するだけで生着を期待するのは,あまりにも楽観論かもしれない.できれば学童期に至る前にいろい
ろな細菌に触れていた方が環境の多様性に対応するものであろう.いずれにせよここ数年が正念場となる新しいテーマであり,どのように展開していくかを見守りたい.

(上野 義之)


 

目次

〔巻頭言〕腸内細菌叢が関与する疾患・領域 滋賀医科大学 藤山 佳秀,他…797

なぜ今腸内細菌か?

 腸内細菌研究を進歩させた技術革新 杏林大学 神谷  茂,他…803

 腸内細菌と免疫系・生体防御機構の相互作用

   理化学研究所統合生命医科学研究センター 大 野 博 司…813

 ヒト腸内細菌とエネルギー代謝 東京農工大学 粕渕 真由,他…821

 ヒト腸内細菌と消化管疾患 慶應義塾大学 中本 伸宏,他…827

 腸内細菌を病理でどう評価するか 神戸大学 全     陽…835

肝臓とmicrobiome

 NAFLD増悪因子としての歯周病感染 広島大学 中原 隆志,他…841

 腸内細菌とアルコール性肝疾患 岡山大学 高原 政宏,他…849

 腸内細菌と肝硬変 京都府立医科大学 原   祐,他…857

 NAFLDと腸内細菌 横浜市立大学 結束 貴臣,他…863

 腸内細菌とウイルス性肝炎 東北大学 井上  淳,他…873

 腸内細菌と線維化非合併肝細胞癌 防衛医科大学校 吉松亜希子,他…877

 腸内細菌と線維化合併肝細胞癌 秋田大学 三浦 光一,他…883

 腸内細菌と肝外科手術 横浜市立大学 武田 和永,他…889

膵臓とmicrobiome

 良性膵疾患と腸内細菌 京都大学 森田 敏広,他…895

 胆膵悪性腫瘍と腸内細菌 自治医科大学 清水  敦,他…901

 腸内細菌と胆膵外科手術 東北大学 大塚 英郎,他…907

座談会“microbiome(腸内細菌)と肝胆膵領域の新世紀” 913

シリーズ 肝臓の病理形態の理解と診断へのアプローチG

 嚢 胞 静岡県立静岡がんセンター 中 沼 安 二…929  

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