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「肝胆膵」(75巻4号・2017年10月号)
膵癌研究Cutting Edge−From Carcinogenesis to Metastatic Colonization−

「肝胆膵」(75巻5号・2017年11月号)
特集/臓器間ネットワークからみた肝胆膵の恒常性とその破綻

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 (2015年3月号増刊号) 特集/肝疾患の病態と糖鎖科学の意義
定価(\)本体 3,000+税 送料(\) 150


編集後記

今回の増刊号は肝疾患の病態と糖鎖科学の意義についてである.糖鎖抗原については医学生の頃gal-NAC,glucro-NACといった呪文みたいなものをひたすら暗記していた嫌な思い出しかないという先生もおられるかもしれない(もちろん期待に違わず筆者もその一人である).しかし,実臨床の場にでると,それが生体の個体の違いに重要な役割を持つことが血液型(ABO式およびRh式)を含めて経験するようになる.今回の増刊号で理解されるように,その基礎医学的な背景はとても幅広い.その糖鎖科学,糖鎖関連抗原の中で今回肝胆膵領域の中で実用化にたどり着いたのが,Mac-2 binding protein糖鎖修飾異性体(M2BPGi)である.これはWFAという藤の種から取れるレクチンを用いてM2BPGiを捉え,化学発光酵素免疫反応によりM2BPGi量に応じた発光強度を
検出する検査技術であり,肝臓の線維化の進行の度合いが反映されるものである.これによって定量的に肝線維化の程度を予測することができ,そのROC曲線(わかりやすく言えば識別度)は既存の血清マーカーよりも優れている.したがって個々の患者さんの肝硬変への進展や,ひいては肝発癌のリスクをこの線維化マーカーによって評価できることになる.もちろん感度・特異性が100%の試験はないので血小板数などの他のパラメーターとも組み合わせて実際には用いられるのだろうが,臨床現場では待望のマーカーといえよう.これを臨床現場にいかに取り入れていくかという点については,本号の各先生方が疾患ごとでの有用性についてお書きくださっているのでそれをぜひ参考にしていただきたい.新しい切り口が入ると,やはり�
�の領域は活性化する.今回M2PFGiが計測できるようになったのもわが国の技術力に負うところが大きい.製薬の世界は巨大外国資本に押されっぱなしであるが,技術ではまだ日本は世界に発信できるものが確実にある.臨床の成績を含めて世界で勝負できるフロントラインをどんどん創出したいし,本増刊号がその一助となれば本望である.

(上野義之)


 

目次

〔巻頭言〕今なぜ糖鎖バイオマーカーが注目されているのか?

  独)国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター 溝 上 雅 史… 5

肝線維化診断薬M2BPGi の開発─糖鎖科学基盤技術の開発から診断薬の実用化まで─   独)産業技術総合研究所・糖鎖医工学研究センター 成 松   久… 9

新規肝線維化マーカーとしてのM2BPGiの有効性と肝硬度測定との比較

  独)国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 是永 匡紹,他…21

新規糖鎖マーカーM2BPGi値は肝発癌を予測する

  国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター 八橋  弘,他…27

肝線維化マーカーWFA結合性M2 binding protein(M2BPGi)の

 臨床的意義 各種線維化マーカーとの比較 九州大学 調   憲,他…35

肝細胞癌切除症例における新規血清肝線維化マーカーM2BPGi測定の有用性の検討

  北海道大学 藤好 真人,他…39

NAFLDにおけるM2BPGiの線維化予測に対する有用性

  愛媛大学 阿部 雅則,他…45

慢性肝炎におけるM2BPGiによる非侵襲的発癌予測の検討

  武蔵野赤十字病院 玉城 信治,他…51

B型慢性肝炎の自然史および治療経過におけるM2BPGiの有用性

  信州大学 松 本 晶 博…57

座談会“肝疾患の病態と糖鎖科学の意義” 63  

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