今後の特集のご案内

「肝胆膵」(75巻2号特大号・2017年8月特大号)
特集/肝細胞癌の化学療法が変わる

「肝胆膵」(75巻3号・2017年9月号)
特集/膵・胆道癌の早期診断を目指せ!

バックナンバーはこちら



 69巻5号(2014年11月号) 特集/肝細胞腺腫,FNHと周辺病変の新しい考え方
定価(\)本体 3,000+税 送料(\) 150


編集後記

従来,肝細胞腺腫は,経口避妊薬の服用に関連した,稀で特殊な良性腫瘍であり,わが国では,ほとんど注目されることはなかった.一方,FNHは,肝細胞腺腫に比べ,やや頻度は高いが腫瘍性疾患ではなく,肝細胞癌の鑑別診断にはあがるが, FNH 自体の研究は乏しかった.最近,フランスのグループから,肝細胞腺腫には特徴的な遺伝子変異のあることが示され,これらの遺伝子異常に基づき肝細胞腺腫の分類が提案された.さらに,いくつかの免疫染色を用いる事により,ホルマリン固定,パラフィン包埋切片でも,遺伝子異常に基づく肝細胞腺腫の診断と分類が可能となり,近年,一般臨床においても肝細胞腺腫が,鑑別診断を含め,注目されている.

 また,従来,FNH と診断されてきた結節の中にも肝細胞腺腫と診断される症例が含まれていることが明らかとなっており,肝に発生する良性腫瘍が見直されている.さらに,肝細胞腺腫にみられ

る遺伝子異常あるいは形質発現は,高分化な肝細胞癌にも共通しており,肝細胞癌の発生や鑑別診断の観点からも興味深い.また,肝細胞腺腫,特にinflammatory type の背景疾患として,非アル

コール性脂肪肝が少なからずみられ,非アルコール性脂肪肝からの肝細胞癌の発生プロセスに,肝細胞腺腫の関与が注目されている.さらに,アルコール性肝疾患,特に肝硬変の中にも,肝細胞腺

腫と同じ形態と表現型を有する腫瘍の存在することも知られている.

 肝細胞腺腫とその周辺は,最近,ようやくわが国でも注目されてきた.これらの良性疾患は,頻度は低いが,肝胆膵の臨床では無視できない存在であり,特に最近の展開は,肝胆膵に関連する臨床医には是非,知って頂きたい領域である.本特集では,肝細胞腺腫,FNH とその周辺病変に関する現状をわが国での臨床,病理の第一人者に解説していただいており,本誌の読者の皆様には,これら腫瘍の最近の展開を理解していただければ幸いである.

(中沼安二)


 

目次

〔巻頭言〕 ...................................................................... (帝京大・病理)福里 利夫

T.肝細胞腺腫:疫学,遺伝子異常

1.肝細胞腺腫の疫学と背景因子:欧米との比較 ........ (日本大・病理)杉谷 雅彦

2.遺伝子異常 ........................................................... (金沢大・病理)佐々木素子

U.肝細胞腺腫,FNHおよび周辺病変の病理

1.肝細胞腺腫:亜分類と形態 ............. (湘南藤沢徳洲会病院・病理)中野 雅行

2.FNHおよび周辺病変の診断 ................................ (帝京大・病理)近藤 福雄

3.NRHの病理 ..................................................... (久留米大・病理)鹿毛 政義

4.アルコール性肝疾患に発生する類似病変 ............. (金沢大・病理)佐々木素子

V.肝細胞腺腫とFNHの画像診断

1. 肝細胞腺腫、FNHと周辺病変の画像(エコー, CT)



..........................................................................(久留米大,隈部医院)隈部力

2. 肝細胞腺腫、FNHと周辺病変の画像(血管造影を含む血流動態)



..............................................................................(虎の門病院肝臓C)斉藤聡

3. 肝細胞腺腫、FNHと周辺病変の画像(EOB-MRI)



.................................................................................(金沢大・放射線)米田憲秀

W.臨床•治療

1.臨床経過と内科的アプローチ ...................... (市立池田病院•消内)今井 康陽

2.外科的アプローチ ........................................... (東京女医大・外)有泉 俊一 2



「肝胆膵」第69巻第5号(2014年11月号)

X.肝細胞腺腫の悪性転化

1.病理の立場より .................................................... (慶應大・病理)尾島 英知

2.臨床の立場より .................................................... (近畿大・消内)工藤 正俊

〔座談会〕

中島 収(久留米・臨床検査部)

上田 和彦(信州大・放射線)

有泉 俊一(東京女医大・外)

中沼 安二(静岡がんC・病理)/ 司会

〔編集後記〕

中沼 安二  

バックナンバーはこちら