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「肝胆膵」(75巻4号・2017年10月号)
膵癌研究Cutting Edge−From Carcinogenesis to Metastatic Colonization−

「肝胆膵」(75巻5号・2017年11月号)
特集/臓器間ネットワークからみた肝胆膵の恒常性とその破綻

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 第68巻5号(2014年5月号) 特集/修復の病理学
定価(\)本体 3,000+税 送料(\) 150


編集後記

 肝硬変は,多くの慢性進行性肝疾患の終末像であり,かつてはいったん完成した肝硬変は不可逆性疾患であり,肝硬変像が消失する,あるいは修復することはないと考えられていた.しかし,近年の肝炎ウイルスに対する治療医学の革新的な進歩により,肝実質での壊死炎症反応の改善や消失に加え,線維化も改善することが明らかになりつつある.そして,これら治療に反応した肝硬変あるいは進行した慢性肝炎の病理像は,かなりの修復あるいは回復を示すことが注目されている.ルーチンの経験で,進行した慢性肝疾患でも治療に反応し,肝生検で一見正常肝に近い像も経験する.また,アルコール性肝疾患や自己免疫性肝炎で,高度に進展した症例でも,病因がなくなることにより,また治療に反応して,ほぼ正常肝に近い肝生検を経験することがある.IgG4 関連肝胆膵疾患でも,ステロイド治療により,胆道や膵で病態の改善が知られている.
 しかし,一見,慢性進行性の肝胆膵疾患から修復した肝胆膵でも,新たな病態の発生することが知られている.肝炎ウイルスによる慢性進行性肝疾患症例で,治療に反応し,ウイルスが消失する,あるいは増殖が抑制され,肝線維化や壊死炎症像が改善した症例からの肝細胞癌の発生が知られており,また原疾患の再燃も知られている.また,高度に進行した肝硬変も改善するのか,また線維化や壊死炎症像は改善するが,肝小葉の改変も回復するのか,特に血行動態や血管改築は改善するのかなど,今後の検討課題も残されている.
 これら,修復の肝胆膵病理学はなんとなく日常的に経験され,また研究論文に記載されているが,詳細な教科書はなく,本格的な研究はなされていない.本企画では慢性に進行した肝胆膵疾患の病理像が,治療に反応したり,また病因がなくなることにより,どこまで改善するのかを読者の皆様に理解していただき,進行した肝胆膵疾患の病理の修復像の問題を正面から取りあげたい.      (中沼安二)


 

目次

〔巻頭言〕修復の病理学 …………………………… 湘南東部総合病院 市 田 隆 文…645
慢性肝・胆道・膵疾患の進展と改善
 B型慢性肝炎の進展と改善…………………虎の門病院肝臓センター 鈴 木 文 孝…647
 慢性ウイルス性肝炎の進展と改善─ C 型─ ……… 大垣市民病院 豊田 秀徳,他…655
 自己免疫性肝炎の進展と改善………………………………岡山大学 三宅 康広,他…661
 アルコール性肝疾患の進展と改善…………………… 金沢医科大学 堤   幹 宏…667
 非アルコール性脂肪性肝疾患の進展と改善…… 東京女子医科大学 戸張 真紀,他…675
 ウイルソン病,ヘモクロマトーシスの進展と改善… 産業医科大学 原 田   大…685
 IgG4 関連硬化性胆管炎の進展と改善
  ………………………………… がん・感染症センター都立駒込病院 神澤 輝実,他…689
 自己免疫性膵炎の進展と改善………………………………信州大学 丸山 真弘,他…695
病理像修復の機序と臨床
 “Cirrhosis” の可逆性に関する考察 ………… 湘南藤沢徳洲会病院 中 野 雅 行…705
 肝線維化改善の分子・細胞基盤……………………………東海大学 稲垣  豊,他…709
 超音波エラストグラフィによる慢性ウイルス性肝炎に対する治療モニタリング
  ………………………………………………………………近畿大学 矢田 典久,他…717
 肝硬変に伴う血管改築の過程とその画像評価の可能性…金沢大学 小林  聡,他…725
 肝実質炎・障害の修復:肝細胞の再生像…………………日本大学 森 山 光 彦…733
 慢性膵炎の改善,修復,再生………………………… 倉敷中央病院 能登原 憲 司…739
病理像修復後の新たな病態発生
 修復,改善に対応した慢性肝疾患の新たな病理分類は必要か:
  犬山分類,Metavir の再検討 ………………… 山梨県立病院機構 小 俣 政 男…745 
 修復後の新たな病態の発生─ de novo B 型肝炎─ …… 鹿児島大学 熊谷公太郎,他…749
 修復後の新たな病態の発生─肝細胞癌の発生─…………大阪大学 小瀬 嗣子,他…755
 自己免疫性膵炎と膵癌………………………………………東北大学 濱田  晋,他…765
 Banti 病,incomplete septal cirrhosis,乙ʼ 型肝硬変
  ─病態解析の新たなアプローチ─………………………金沢大学 筒井 朱美,他…771
座談会“修復の病理学” ………………………………………………………………… 781  

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