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 第66巻6号(2013年6月号) 特集/肝細胞がんのVascular Invasion
定価(\)本体 2,900+税 送料(\) 150


編集後記

肝細胞癌の生物学的特性として,脈管浸潤,特に門脈浸潤が治療の有無に関わらず極めて臨床的に重要であることが示唆されている.肝細胞癌を栄養する血液は流出経路として門脈分枝を経て,肝内あるいは全身に流れ出す.このことが肝細胞癌の門脈腫瘍塞栓や肝内転移,あるいは全身への転移の様式として重要な役割を演じていることが容易に理解されるであろう.
 この肝細胞癌の門脈浸潤には末梢の門脈分枝の塞栓から,徐々に門脈本幹までの程度によりVP1 から3, 4 まで分類されている.VP2 まではある程度進歩した画像診断のツールで治療前に診断することができるようになってきたが,まだまだVP1 を正確に診断するすべは今のところ見当たらない.さらに,このVP1 も臨床経過からみて2 通りの性格を有しているようで,なかなか解析するには手ごわい印象がある.
 一方,肝切除やRFA などの局所治療ならびに肝移植において,このVP 因子が術後の再発率や治療成績に極めて密に関係していることは日常診療でよく経験する.
 そこで本特集は肝細胞癌の脈管浸潤の病理学的かつ分子病理形態学的検討からその機序を解析し,さらに診断としてのバイオマーカーや画像診断の進歩をまとめることとした.そして,局所治療や肝移植における門脈浸潤の臨床的意義も合わせて論じていただくこととして,多くの項目を設定したが,その道の専門家に多忙にもかかわらず快く執筆していただいた.全体をざーと読むだけでも頭の中が整理されたものと自負している.
 座談会ではそれぞれのExpert が自由闊達にこの肝細胞癌の脈管浸潤に関する多くのことを討論した.この座談会をベースに特集の内容を読破すると,理解度がより深まると考える次第である.
 ある意味,肝細胞癌の門脈浸潤と狭い範囲に特化した特集であり,マニアックといわれても仕方ないところである.常日頃,臨床の現場でいずれは「退治」したいと願っている門脈浸潤という「鬼」に向かう気持ちを忘れないためにもこのような特集を組んだことを理解願えれば幸いである. ( 市田隆文)


 

目次

〔巻頭言〕肝細胞がんのVascular Invasion …………………金沢大学 松 井   修…873
病理学的側面からその特徴を探る
 脈管浸潤の病理学的特徴 …………………………………帝京大学 福里 利夫,他…877
 分子病理学的検討からの脈管浸潤診断 ……………… 久留米大学 矢 野 博 久…885
 In vitro 実験系での浸潤能と運動能 …………………… 順天堂大学 玄田 拓哉,他…893
バイオマーカー研究からの進歩と可能性
 血液マーカーによる脈管浸潤診断 ………………… 関東中央病院 小 池 幸 宏…903
 In vitro の系からみたPIVKA-II と脈管侵襲
  …………………………………………… 国立国際医療研究センター 村 田 一 素…909
 臨床情報に基づいた新規バイオマーカーの探索
  …………………………………………………… 東京医科歯科大学 田中 真二,他…917
画像診断から脈管浸潤の限界にせまる
 VP2 は最新の画像診断で何処まで解析できるか ………信州大学 角谷 眞澄,他…927
 造影超音波での解析 ………………………………… 兵庫医科大学 田中 弘教,他…935
治療成績からみた脈管浸潤の重み付け
 分子標的治療と脈管浸潤 …………………………………金沢大学 山下 太郎,他…941
 RFA と脈管浸潤 ………………………………………… 順天堂大学 椎名秀一朗,他…947
 肝切除と脈管浸潤 …………………………………………京都大学 波多野悦朗,他…953
 肝移植と脈管浸潤(Kyoto 基準) …………………………愛媛大学 高 田 泰 次…961
 脈管浸潤からみた肝移植成績 ………………………… 北海道大学 嶋村  剛,他…967
座談会“肝細胞癌がんのVascular Invasion”…………………………………981
症例報告
 いわゆる胆管嚢胞腺癌との鑑別が困難であったComplicated solitary hepatic cyst の1 例
   ………………………… 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 大倉 隆宏,他…995
 

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