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「肝胆膵」(74巻6号・2017年6月号)
特集/自己免疫性肝・胆管疾患のupdate

「肝胆膵」(75巻1号・2017年7月号)
特集/ニュートリゲノミクスから斬る肝胆膵疾患

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 第66巻3号(2013年3月号) 特集/肝胆膵疾患;「予後」の変遷
定価(\)本体 2,900+税 送料(\) 150


編集後記

 今回の特集号は「予後の変遷」である.毎日が慌ただしく過ぎてゆく診療現場に身をさらしている身では予後の変化をゆっくりと振り返る間もない.しかし,医学の進歩によりわが肝胆膵の領域の予後はまた確実に変化している.この変化をもたらしている要素は,分子生物学の進歩,画像診断の機器の開発,公衆衛生などの社会資本の改善など多岐の要素に負うところが多い.しかしその根底にあるのは疾患に苦しむ患者さんたちを救いたいという医療現場からの切実な願望であろう.予後の変遷を学ぶことは,さまざまな時代背景を学ぶことにも繋がる.現代のある一時点で物事を平面的に断ち切って考えるとその深い根底にある背景を読み取れなくなることもある.日本でなぜ欧米よりも早くC型肝炎の感染者が増えたのかなどは,当時の日本の疾患構造(結核手術の流行や住血吸虫症の存在)などの要素をくみ取らねばならない.また最近のB型肝炎による慢性肝不全での死亡が減少したのは2000年以降に導入された核酸アナログ薬の影響が大きいが,それをもたらしたのはHIV治療での先行する知識や経験による.しかしながら,まだまだ予後の進歩を実感できない疾患も肝胆膵領域には存在する.また従来常識的であった予後とこれから経験する予後とが大きく異なる見込みの疾患があることは,NASHを例にとれば想像できる.また,今回の特集号でも予後の改善を自身の経験に照らして実感できる疾患もあるだろうが,まだまだ難治であると改めて確認する疾患もあるだろう.一般的に医師が大学を卒業して診療現場にいるのはたかだか50年ぐらいだろうが,その半世紀の間に予後の変遷を実感できるほど臨床医としては幸せなことはない.できるだけ多くの肝胆膵疾患で,「最近この病気は死ななくなった」あるいは「最近この病気はみなくなった」ということが実感できるように,そして願わくは予後の変化に貢献に参加することができるように日々を過ごしていきたいものである.(上野 義之)


 

目次

〔巻頭言〕予後判定の変遷と超高齢化社会の影響
   川崎医科大学 山 田 剛太郎…387

肝疾患
 急性肝不全の予後 岩手医科大学 滝川 康裕,他…391
 B型肝炎の自然予後(無治療住民検診での長期予後)
   山形大学 渡辺 久剛,他…399
 B型肝炎の治療介入による予後 虎の門病院 鈴 木 文 孝…409
 C型肝炎の自然予後−無治療住民検診における長期予後の検討−
   国立国際医療研究センター国府台病院 村田 一素,他…417
 C型肝炎の治療介入による予後 兵庫医科大学 榎本 平之,他…423
 NASH/NAFLDの予後 東京女子医科大学 徳重 克年,他…431
 アルコール性肝疾患の予後 慶應義塾大学 加 藤 眞 三…439
 自己免疫性肝炎の予後 愛媛大学 阿部 雅則,他…447
 原発性胆汁性肝硬変の予後
国立病院機構長崎医療センター 小森 敦正,他…455
 原発性硬化性胆管炎の予後 帝京大学 田 中   篤…463
 肝細胞癌の予後 武蔵野赤十字病院 土谷  薫,他…469
 ウイルソン病の予後 産業医科大学 原田  大,他…479

膵疾患
 急性膵炎の予後 産業医科大学 真 弓 俊 彦…485
 慢性膵炎の予後 九州大学 伊藤 鉄英,他…493
 自己免疫性膵炎の予後 信州大学 村木  崇,他…499
 膵癌の予後の変遷 北海道大学 中西 喜嗣,他…507
 膵嚢胞性腫瘍の予後 東京女子医科大学 羽鳥  隆,他…517
 膵内分泌腫瘍の予後 東京医科歯科大学 工藤  篤,他…523

胆道疾患
 胆嚢・胆管結石症および肝内結石症の予後
   中国労災病院 大屋 敏秀,他…533
 胆道癌の予後 千葉大学 加藤  厚,他…539



座談会“肝胆膵疾患;「予後」の変遷”
上野義之/岡上 武/白鳥敬子/有井滋樹…549

 

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