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特集/ニュートリゲノミクスから斬る肝胆膵疾患

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 第66巻2号(2013年2月号) 特集/胆膵癌の早期診断フロントライン
定価(\)本体 2,900+税 送料(\) 150


編集後記

 本号では胆膵癌の早期診断をテーマとした.癌診療において早期診断,早期治療は診療の王道であるが,胆膵癌においては必ずしも容易ではない.さらに,悪いことに,この領域の癌は発見が少し遅れるだけで,切除不能になったり,切除できても拡大術式を要し,それにも関わらず予後は厳しいことが多い.すなわち,数カ月の診断の遅れが治療法に大きな影響を及ぼし,生命予後を不良にする.早期診断の困難さもさることながら,この点も消化管癌と著しく異なる.端的な例として胆嚢癌をあげる.胆嚢癌の場合,たまたま胆石ということで切除し,そこに早期癌が存在したとすれば,胆嚢摘出術のみで5年生存率は90%以上である.他方,ステージV程度になれば肝切除,胆管切除,リンパ節郭清を行って40%程度,ステージWでは血管合併切除や膵頭十二指腸切除の追加(肝膵同時切除)が必要になったりもするが,5年生存率は20%程度である.早期診断の有り難味が身に沁みる.

 もうひとつの問題は早期癌の診断である.これこそ残念ながら極めて困難である.消化管の場合,病変を内視鏡で直視できる.しかも最近の拡大内視鏡はわれわれの目よりも精緻な観察が可能であり,微細な血管構築も観察できる.はたして膵管,胆道の上皮の微細変化をどこまで画像でとらえることができるか.分子疫学,分子病理などの手法により精度の高いハイリスクグループの設定,早期に鋭敏に動くバイオマーカーの発見などで患者を絞り込む手段を獲得し,精緻な画像に存在診断,局在診断を委ねることが今後の方向性であろうか.

 いまだゴールは遠いが,若き医師,研究者にはこの現状を伸び代の大きい領域と捉え,果敢に挑戦して欲しい.それに値する命題であることを確信する.

(有井 滋樹)


 

目次

〔巻頭言〕胆膵癌の早期診断の進歩を学ぶ 千葉大学 宮 崎   勝…169

胆道(胆嚢,胆管)
 早期胆道癌(胆嚢と胆管)の分子病理 金沢大学 中沼 安二,他…171
 臨床
  早期診断の進め方 千葉大学 酒井 裕司,他…181
  画像による早期診断の進歩
   腹部超音波による,胆嚢隆起性病変の拾い上げと精密検査
     獨協医科大学 玉 野 正 也…187
   胆嚢癌に対するBモード超音波による早期診断
     藤田保健衛生大学 山本 智支,他…193
   胆嚢癌に対する超音波内視鏡および造影超音波内視鏡の有用性について
     名古屋第一赤十字病院 石川 卓哉,他…197
   胆管癌MDCTによる早期診断
静岡県立静岡がんセンター 岡村 行泰,他…205
   ERC関連手技による早期胆管癌の診断
名古屋大学 川嶋 啓揮,他…213
  切除例からみた考察 千葉大学 大塚 将之,他…221


 早期膵癌の分子病理
国立がん研究センター研究所 平 岡 伸 介…227
 膵癌の全ゲノム解析
国立がん研究センター研究所 谷内田 真 一…235
 新規血清マーカー
独立行政法人理化学研究所 植 田 幸 嗣…243
 臨床
  膵癌高危険群
   疫学からみた膵癌の高危険群と早期診断
東北大学 江川 新一,他…251
   臨床から(膵嚢胞,膵管拡張) 京都大学 中泉 明彦,他…261
  早期の膵癌の臨床的特徴と診断法
JA尾道総合病院 花田 敬士,他…269
  膵癌早期発見を目指す地域連携 山梨大学 深澤 光晴,他…277
  膵液細胞診 鳥取大学 松本 和也,他…285
  IPMN観察例からの早期発見 琴似ロイヤル病院 丹野 誠志,他…293
  超音波検査を主体とした膵癌定期検診システム
    大阪がん循環器病予防センター 田中 幸子,他…299
  画像による早期診断の進歩
   膵腫瘍における体外式超音波検査の進歩
近畿大学 大本 俊介,他…307
   CT・MRI 手稲渓仁会病院 櫻井 康雄,他…315
   ERCP 静岡県立総合病院 菊山 正隆,他…327
   膵腫瘍診断における超音波内視鏡検査の進歩
名古屋大学 大野栄三郎,他…337
  切除例からみた考察 東京女子医科大学 羽鳥  隆,他…345



座談会“胆膵癌の早期診断”
有井滋樹/真口宏介/糸井隆夫/中沼安二…351



症例報告
 多発肝転移をきたしたAFP, PIVKA-II産生胃癌の1症例
   川崎病院 竹内 庸浩,他…373  

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